マテリアリティに関する取り組み

当社は、"Quality of Lifeに貢献する最高の資産運用会社へ。"を経営理念に掲げ、お客さまへの質の高い資産運用サービスの提供とともに、インベストメント・チェーンの一翼を担う責任ある機関投資家として投資先企業等に対するスチュワードシップ活動を行っています。

こうした取り組みを加速させ、サステナブルな社会の実現にこれまで以上に貢献できるよう、重要な経営課題として「マテリアリティ」を特定しました。当社におけるマテリアリティは、資産運用業の特性を考慮して「資産運用業務におけるマテリアリティ」と「事業会社としてのマテリアリティ」に区分し、それぞれ「環境問題:生命の安全」、「社会課題:生活の質の向上」、「ガバナンス」の3つの分野において多々あるなかから重要度の高い課題を特定しました。

今後は、当社ホームページや毎年11月頃に発行するサステナビリティレポートにて、具体的な取り組み内容を紹介してまいります。

なお、2020年11月に公表した「当社のESG重点テーマ」は、このたび特定した「資産運用業務におけるマテリアリティ」に統合されました。

マテリアリティ特定のプロセス

マテリアリティの特定にあたっては、社員、社外有識者、お客さまや評価機関などの幅広いステークホルダーの意見を基に経営陣が議論を重ね、多岐にわたる課題のなかから環境・社会・ガバナンスそれぞれの重点課題を特定しました。

  • STEP1:課題リストの作成
    CSRレポート作成における国際標準であるGRIスタンダード等を参考に、ESGの各要素について課題をリストアップしました。
  • STEP2:ステークホルダーの声の収集
    • 社員アンケート調査
      課題リストを基にしたアンケート調査を実施し、国内勤務者の8割にあたる約700名から回答を得ました。調査結果は、年代別、担当職務別等の切り口から分析を行いました。
    • 社外有識者のヒアリング
      ESGや法律、会計の専門家や外資系運用会社の経営経験を持つ社外有識者の意見をヒアリングしました。
    • 顧客や評価機関からの質問
      顧客や評価機関に回答した質問を精査し、当社に対する期待・要望を抽出しました。
  • STEP3:経営陣・取締役会による検討
    当社の経営に重要な役割を果たしている各部門の統括役員を中心に闊達な議論を重ね、当社のマテリアリティを取締役会で決定し、さらには個々のマテリアリティに関する重点取り組み事項を定めました。

資産運用業務におけるマテリアリティ

「サステナブルな社会の実現における重要性」と「長期的な運用パフォーマンスにおける重要性」の二つの視点から、とりわけ重要度が高い6項目を「資産運用業務におけるマテリアリティ」として特定しました。

当社独自のESG評価の評価項目にこれらを反映するとともに、エンゲージメントにおいては、マテリアリティごとに定める重点セクターやターゲット企業を主な対象として、外形的な基準はもとより実質を重視した真にステークホルダーにとって価値のある活動を行ってまいります。また、議決権行使においては、投資先企業に対してESGに関する積極的な情報開示を促し、開示が不十分で改善の意思が見られない場合には取締役選任に反対を行います。

環境問題(生命の安全)

気候変動

            

当社の認識・目指すべき方向性

2050年の温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロの実現に向けて、大企業を中心にサプライチェーンの調達先に排出量削減を求める動きが広がっており、部品メーカー等では取引先への対応が喫緊の課題となっています。一方、再生エネルギーへの転換は物価上昇や環境破壊といった弊害やキャパシティの制約もあり、2050年GHGネットゼロ目標の達成には革新的なイノベーションが不可欠です。また、GHG排出量の削減とともに、森林や海洋の環境を保全し、二酸化炭素の吸収力を高めることも等しく重要です。

当社の取り組み

  • 当社は、気候変動に係る世界共通の長期目標であるパリ協定、さらには、2050年までに温室効果ガスの排出量実質ゼロ達成に向けた国際社会の取り組みに賛同し、同目標の実現を目指すグルーバルな資産運用会社によるイニシアティブであるNet Zero Asset Managers Initiativeに2022年3月に加盟しました。
  • 投資先企業等に対して、GHG排出量が多いセクターや企業のダイベストメントを選択肢として考慮しつつ、パリ協定が求める水準と整合した長期計画を有する企業に付与されるSBT(Science Based Targets)認証の取得、CDP気候変動スコアの改善等の働きかけを行う方針です。国内外のイニシアティブが主催する協働エンゲージメントにもこれまで以上に積極的に参加してまいります。
  • 当社アナリストがカバーする投資対象企業のGHG排出量の予測を行い、投資判断の一要素として活用します。
自然資本

当社の認識・目指すべき方向性

環境破壊の遠因と考えられているのが、世界の人口増加と食生活の変化(肉食化)です。食の持続可能性の向上と循環経済による環境負荷の軽減が、次世代に豊かな地球環境を引き継ぐための重要なカギになると考えています。

当社の取り組み

  • 当社は、エンゲージメント活動等を通じて、投資先企業に対して資源の有効利用や循環経済への貢献等、環境負荷軽減に向けた取り組みを後押しします。
  • とりわけ、農林水産業から小売り・外食に至るバリューチェーンを構成する企業に対しては、食品ロスの削減や食の持続可能性を高めるための働き掛けを行う方針です。
  • 国内外の動向をタイムリーに把握するため、自然資本関連のイニシアティブへの参加を検討します。

社会課題:生活の質の向上


サプライチェーンの人権

            

当社の認識・目指すべき方向性

海外では企業による人権デューデリジェンス実施を法制化する動きが加速するなかで、日本企業の対応には遅れがみられ、グローバルなサプライチェーンを有する企業では実態把握も十分にできていない企業も散見されます。場合によってはサプライチェーンの再構築を要する重要な課題であり、早急な対応が求められています。

当社の取り組み

  • 当社は、2021年10月、人権尊重に関する考えを体系化し、より包括的な取り組みを行うことを目的に人権方針を制定しました。
  • 同方針に基づき、投資先企業が人権デューデリジェンスの継続的な実施により、サプライチェーンにおける人権リスクを適切に管理するよう働きかけを行っています。
  • 国内外の動向をタイムリーに把握するため、人権関連のイニシアティブであるPRI Advanceに署名し、協働エンゲージメントに参画しています。


当社の人権問題への取り組みは、こちらをご覧ください。
人権問題への取り組み

人的資本

当社の認識・目指すべき方向性

優秀な人材を獲得し、育成することが企業の競争力を大きく左右します。また、労働市場の流動性が高まるなかで、社員一人ひとりが能力を発揮できるよう、職場環境を整備し、エンゲージメントを高めることも重要な経営課題と考えます。

当社の取り組み

  • 当社は、投資先企業に対して、中長期的な経営戦略と整合的な人財戦略策定による人材の採用・育成や社員が能力を発揮できる魅力的な職場環境づくりに取り組むよう働きかけを行う方針です。

ガバナンス

コーポレートガバナンスの

実効性

当社の認識・目指すべき方向性

わが国の株式市場のPERは相対的に低い水準にとどまっており、これを他の主要先進国並みに引き上げるには、企業価値向上に対する経営者の意識の向上と、中長期的な成長に必要なリスクテイクを促すことができるガバナンス体制が不可欠と考えます。

当社の取り組み

  • 当社は、投資先企業に対して、コーポレートガバナンスの実効性を高めるために、外形的な基準にとどまらず、専門知識やスキルの多様性に富むメンバーにより取締役会を構成するよう働きかけを行います。
  • また、議決権行使にあたっては、取締役選任への判断に従来のROE(株主資本利益率)基準にTSR(株主総利回り)基準を追加し、企業価値向上への意識の向上、具体的な戦略の実行を促す方針です。
企業倫理・組織文化

当社の認識・目指すべき方向性

日本企業による検査不正や品質偽装等の不祥事は後を絶ちませんが、閉鎖的な企業体質が原因の一つとして指摘されています。また、めまぐるしく変化する昨今の経営環境では、迅速かつ柔軟に変化に対応することが求められています。企業がこうした不祥事を抑止し、環境変化がもたらす機会を活かすには、ガバナンス構造やルール等のハード面に加えて、社員の倫理観や組織文化等のソフト面が非常に重要です。

当社の取り組み

  • 主に不祥事が発生した投資先企業を対象にエンゲージメントを実施し、ネガティブインパクトを抑止し、社員が創造性を発揮できるよう、風通しの良い組織文化づくりに取り組むことを促す方針です。
  • また、企業倫理や組織文化などソフト面を当社独自のESG評価にこれまで以上に反映させる方法について研究を行い、ESG評価の有効性の向上に努めます。

事業会社としてのマテリアリティ

「サステナブルな社会の実現における重要性」と「当社の事業運営における重要性」の二つの視点から、とりわけ重要度が高い5つの項目を「事業会社としてのマテリアリティ」として特定しました。社会・お客さま・社員のQuality of Life向上に資する足下の活動に加えて、中長期的な視点から人財開発や健全な組織文化づくりに取り組んでまいります。

環境問題(生命の安全)

環境に配慮した事業運営

            

当社の取り組み

当社は、事業運営に伴う環境への負荷を軽減するため、さまざまな取り組みを行っています。

  • オフィス利用面積の削減やエネルギー効率の高いビルへの移転、再生エネルギー由来の電力への切り替え等により、2030年までの排出量実質ゼロ(スコープ1および2)を目指します。
  • 従前よりデジタル化によるペーパーレス化を進めていますが、ペーパーレス化が困難な印刷物には、責任ある木質資源を原料とするFSC認証用紙の採用を進めます。

社会課題:生活の質の向上


人的資本

            

当社の取り組み

資産運用会社である当社にとって人的資本はすべての事業活動の基礎であり、人財価値の向上は当社の最重要の経営課題です。

  • 当社は、人財価値向上を「社員一人ひとりの能力の向上」、「社員一人ひとりの能力の発揮」および「個を束ねたチーム力の発揮」の3つのステップで構成するプロセスとして定義しました。人財開発投資、ウェルビーイングの向上、学習する組織文化の醸成等に取り組むことにより、それぞれのステップをより高いレベルに引き上げることを目指します。
  • こうした取り組みにより役職員一人ひとりが活躍の場を広げ、それを会社の成長につなげることが、経営ビジョン「Quality of Lifeに貢献する最高の資産運用会社」への道筋と考えています。


詳しくは、以下の各ページをご覧ください。

三井住友DSアセットマネジメントの人的資本経営

働きやすい環境整備に関する取り組み
ダイバーシティ推進に関する取り組み

社会貢献活動

当社の取り組み

当社は、資産運用会社として、また地域社会における一企業市民として、社会貢献活動を行っています。今後は、社員の環境問題や社会課題に対する理解を深めるために、社員参加型の活動にこれまで以上に注力する方針です。

  • 国内の少子高齢化がますます進むなかで、人生の早い時期から資産形成に取り組むことの重要性を伝える金融教育活動に注力します。
  • 特定の公募投信からの収益の一部を環境問題・社会課題の解決に資する活動を行っている研究機関等の団体に寄付を行います。
  • 社員有志の寄付により運営する「三井住友DSアセットQOL基金」を中心に、社員参加型の活動に注力します。

当社の社会貢献活動は、「社会貢献活動に関する取り組み」をご覧ください。
社会貢献活動に関する取り組み

業務品質向上

当社の取り組み

市場環境の変化や国内外の規制当局による多様な情報開示の要請に的確に対応しつつ、お客さまからの新しいご要望にお応えできるよう業務品質の向上を実施してまいります。同時に、社員の長時間労働を防止し、ワーク・ライフ・バランスを維持できるように、デジタル技術を活用した業務プロセスの見直しを行います。

  • リサーチ業務等におけるAIやRPAの活用、各種情報のデータベース化など、ITツール活用による業務効率化を推進します。
  • バックオフィス業務の一部は、業務効率化および今後の円滑な規制対応等の観点から、2021年9月から専門性が極めて高い信託銀行への集約(BPO:ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を実施しています。一方、当社独自の業務やお客さま固有のニーズにお応えするサービスに関しては、より一層高い品質を目指し自社で引き続き対応します。
  • ESG関連ファンドについては、いわゆる「ESGウォッシュ」との疑いを持たれることがないように、情報開示の一層の充実に努めます。
  • 特にこのコロナ禍において、ナレッジ共有を促進し、また、事務エラーの原因となる業務の属人化を防ぐため、社内コミュニケーションの活性化に努めます。

ガバナンス

企業倫理・組織文化

            

当社の取り組み

当社は、お客さまの大切な資金をお預かりする受託者として、役職員一人ひとりがプロフェッショナルとして高い倫理観と社会への貢献意欲を持ち、目標にチャレンジできるような組織文化の醸成に努めます。

  • すべての役職員が受講を必須とするコンプライアンス研修すべての役職員が受講を必須とするコンプライアンス研修(原則四半期ごと)に加えて、法令遵守に留まらない企業倫理や受託者責任についても各部署でディスカッションできる機会を設け、高い倫理意識を醸成するよう努めます。
  • 役職員の環境問題・社会課題に対する理解を深め、当事者意識を高めることを目的とするサステナビリティ研修を実施します。
  • 組織文化調査を毎年行い、役職員の意識や組織コンディションを把握するとともに、風通しの良い健全な組織文化づくりに役立てます。

最終変更日: 2023年10月27日

その他の方針および取り組み実績