議決権行使に関する基本方針
2024年1月4日
1. 議決権行使に関する基本的な考え方
三井住友DSアセットマネジメント(以下「当社」)は、スチュワードシップ責任を果たす上で、お客さま・最終受益者の皆さまの利益のため、投資先企業やREITの投資法人等(注1・注2)(以下「投資先企業等」)の価値向上もしくは毀損回避を目的に議決権を行使します。
議決権は、その具体的な行使方法によって、企業経営やREIT運用にインパクトを与え、投資先企業等の価値を変動させ得る重要な権利です。経営者等が株主(もしくは投資主)利益を損なうことを防ぐよう、また経営者等が企業内やREIT財産内の資源の有効活用を図り、最大の価値を生み出す動機付けとなるよう議決権行使に努めます。
資産運用にあたっては投資収益がより高まると見込まれる資産に投資しますが、保有継続のみでなく、エンゲージメントや積極的な議決権行使により、投資先企業等の健全な発展や価値向上を促すことが可能と考えます。
投資先企業等のガバナンスを確立し資本市場が健全に運営されるため、また、株主(もしくは投資主)としての立場を認識し、投資家にとって望ましい条件を整備するために、積極的に議決権を活用します。
※1 | 「REIT」は不動産投資信託を、「J-REIT」は国内のREITをいう。 |
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※2 | 「REITの投資法人等」とは、REITの資産を保有する投資法人および投資法人が運用を委託する資産運用会社をいう。 |
2. 議決権行使にかかる体制およびプロセス
議決権行使に関する基本方針の根拠となる社内規程類は、取締役会決議、もしくは取締役および執行役員等によって構成される経営会議審議の後にCEOにより決定されます。
決定された社内規程類に則り、基本方針や具体的な議決権行使の判断基準(以下「議決権行使判断基準」)等の策定、実務遂行プロセスの整備、議決権行使指図に関する体制整備等に関しては、スチュワードシップ会議の審議を経て責任投資オフィサーが承認するプロセスで行います。
国内株式・J-REITの各議案に対する賛否は、「議決権等行使指図規則」、「国内株式議決権行使実務要領」、「J-REIT議決権行使実務要領」、および「議決権行使判断基準」に則って担当者が判断し、責任投資推進室長が承認します。また、議案の内容に応じてスチュワードシップ会議で審議を行います。原則として白紙委任はせず、全議案とも、賛成、反対、棄権のいずれかを選択し、議決権行使指図を行います。
議決権は株主(もしくは投資主)にとって重要な権利であり、その行使は投資先企業等価値向上もしくは毀損回避のための重要な手段であるとの考えに基づき、投資先企業等の議案を精査します。

株主会社など当社と密接な関係を有する企業および関連当事者等への議決権行使に際しても、お客さま・最終受益者の皆さまの利益を第一に考え、投資先企業等の価値向上もしくは毀損回避を目的に行使判断します。利益相反の可能性を有するこれら企業等に対しても行使判断を歪めることなく、その他の投資先企業等と同様、「議決権行使判断基準」に則って自ら議決権行使を行うことを原則としますが、利益相反管理が一段と重要な当社の株主会社等(三井住友フィナンシャルグループ、大和証券グループ本社、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(三井住友海上火災保険持株会社))の議案等に対しては、外部の議決権行使助言会社(現時点ではISSを採用)の推奨を参照して議決権行使を行います。また、議決権行使結果は「責任投資委員会」において定期的にモニタリングを行うとともに、議決権行使結果を投資先企業等毎、議案毎に賛否を個別開示することでさらなる透明性確保に努めます。
社会的信用に関する行為があった場合や、臨時総会に上程される議案、株主(もしくは投資主)提案、減資、第三者割当増資、合併・事業譲渡等、投資先企業等の価値に多大な影響を及ぼすと考えられる議案に関しては、特に詳細な調査分析の上、判断します。
なお、エンゲージメントを実施した投資先企業等に対する議決権行使については、実施した対話の内容を踏まえて、「議決権行使判断基準」を弾力的に運用し、中長期視点で個別の実態に則った判断に努めます。
外国株式・外国REITについては、「外国株式議決権行使実務要領」、「外国REIT議決権行使実務要領」に則り、ファンドおよび当該発行国の実態等を考慮した上での議決権行使を原則としますが、より効率的な議決権行使を行うために、議案調査等の外部委託、あるいは外部の議決権行使助言会社を利用することがあります。
当社の「議決権行使判断基準」は以下の通りです。
3. CSR(企業の社会的責任)と議決権行使
中長期的な投資先企業等の価値向上もしくは毀損回避のためには、投資先企業等が社会的責任を果たしていく必要があると考えます。法令遵守にとどまらず、消費者、取引先、地域社会、社会全般等、株主(もしくは投資主)以外のステークホルダーとの関係も尊重した健全な経営が投資先企業等の価値に資すると考え、社会的信用に関する行為は短期、中長期にかかわらず、投資先企業等の価値を毀損する可能性が高いという見方を採ります。
議決権行使に際しても、社会的信用に関する行為に対しては厳しい姿勢で臨み、投資先企業等の価値向上もしくは毀損回避を判断の基準とします。
当社は、株主(もしくは投資主)の立場で投資先企業等の意思決定および運営・経営を監督・監視する機能として、「議決権行使判断基準」を満たす社外役員(株式の場合)や執行役員・監督役員(J-REITの場合)の選任が、CSRを果たす意味においても重要と考えます。
4. 議決権行使結果の公表
当社は、議案分類毎の集計結果とともに、行使した全議案の賛否等をホームページ上で公表します。行使結果については、3、6、9、12月末を基準日として3ヵ月毎に取り纏め、それぞれの月末から2ヵ月前後を目処に公表します。
以上