ホーム会社情報責任投資について日本版スチュワードシップ・コードの受入れについて旧 三井住友アセットマネジメント株式会社の日本版スチュワードシップ・コードの受入れについて

旧 三井住友アセットマネジメント株式会社の
日本版スチュワードシップ・コードの受入れについて

このページは、旧 三井住友アセットマネジメント株式会社の内容となります。2019年4月1日以降については、「三井住友DSアセットマネジメント株式会社の責任投資について」をご確認ください。

三井住友アセットマネジメント(以下「当社」)は、2017年5月に改訂された日本版スチュワードシップ・コードを受入れ、以下の方針を表明いたします。
当社は、お客さま・受益者の皆さまの大切なご資金に対し、「運用責任を全うする」ことを「フィデューシャリー・デューティー(FD)宣言」でお約束し、その具体的な施策を「フィデューシャリー・アクションプラン」として策定、取組状況を半年ごとに当社ホームページでご報告しております。スチュワードシップ活動については、FD宣言および同アクションプランを踏まえて以下の方針を策定し、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)等を通じて、当該企業の企業価値向上や持続的成長を促すことにより、お客さま・受益者の皆さまの中長期的な投資リターンの拡大を図る責任を果たしてまいります。

【原則1】スチュワードシップ責任を果たすための方針

当社は、お客さま・受益者の皆さまの利益のため、投資先企業との強い信頼関係を基盤にエンゲージメントを行い、株主としての視点を伝え、中長期投資を目的に投資先企業の企業価値向上を目指します。

エンゲージメントについては中長期視点で幅広く行いますが、対話を通じて当社が持続的成長、企業価値向上に貢献できると判断する投資先企業については、対話の頻度を高め内容をより深化させる方針です。

投資先企業との積極的対話、議決権の効果的行使により、①お客さま・受益者の皆さまの保有資産の着実かつ安定的な成長(資産形成)と、②経済の成長に結びつくマネー(成長マネー)の適切な供給を通じて、産業の発展と企業の持続的成長に貢献し、資産運用会社としての社会的使命を果たす考えです。

【原則2】スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反に関する方針

当社は、三井住友フィナンシャルグループ、住友生命保険、三井住友海上火災保険を株主に持つため、株主会社、およびそのグループ関係会社との間に様々な利益相反が生じる可能性がありますが、株主会社の利益を優先させることなく、お客さま・受益者の皆さまの利益を保護するため、以下に示す適切な管理態勢を構築しています。

1.ガバナンス体制
当社は株主会社からの役員派遣枠を撤廃し、独立した社外取締役と社外監査役を招聘しています。また、利益相反関係等、FD全般をチェックすることを目的とするFD第三者委員会を設置し、四半期毎に外部有識者から提言を受け、同委員会の活動内容を半年ごとに公表しています。

2.管理対象とする取引等の類型
当社は以下の管理対象とする取引についてそれぞれ対応方針を策定しています。

(1)投資行動に起因する利益相反
アナリストおよびファンドマネージャーはお客さま・受益者の皆さまが期待する投資リターンを追求し、忠実義務を果たします。有価証券等の売買に際しては、お客さま・受益者の皆さまの利益を第一に考え、最良執行を追求します。当社、および当社と密接な関係を有する企業(株主会社を含むグループ企業、当社投信商品の販売会社、当社が運用を受託している企業年金基金の母体企業等)の利益を考慮して本来のあるべき投資行動を歪めることはありません。

(2)議決権行使に起因する利益相反
上記(1)に記載の当社と密接な関係を有する企業の議決権行使に際し、お客さま・受益者の皆さまの利益を第一に考え、企業価値向上を目的に行使判断します。利益相反の可能性を有するこれら企業に対しても行使判断を歪めることなく、その他の企業と同様、議決権行使判断基準(以下「SMAMガイドライン」)に則って適正に議決権を行使します。当社は利益相反への適切な対応のため、議決権行使の可視性をさらに高め、議決権行使結果を個別開示します(議決権行使については【原則5】を参照)。

(3)その他の利益相反が生じた場合のプロセス
上記(1)~(2)で特定されていない利益相反が生じた場合、案件に応じて、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会、経営会議などに諮った上でCEOの決裁を得る社内プロセスを保持しており、適切、かつ迅速に問題を解決します。

3.利益相反管理方法
利益相反の内容および程度に応じて、以下に掲げる方法により利益相反を管理します。
(1)適切なファイアウォール設置等による社内での情報遮断
(2)お客さま・受益者の皆さまへの適切な開示等
(3)取引・行動の変更もしくは中止

4.利益相反管理体制
上記2の利益相反の類型に対応する社内規程類に基づいて業務が適正に遂行されているか、内部監査部が定期的に検証します。また利益相反の観点から、運用機関として行動が適切かどうかについて、FD第三者委員会より四半期毎に提言を受けます。

5.利益相反に関する役職員の意識啓発
利益相反の対応方針については、当社全役職員が遵守すべき「行動規範」を定めた「コンプライアンス・マニュアル」において明確に規定され、また定期的に開催するコンプライアンス研修において、その方針は全社で徹底されています。当社は利益相反が起こることがないよう、役職員の意識を絶えず啓発していきます。

【原則3】企業の状況把握に関する方針

当社の強みはリサーチ力にあり、投資先企業との様々な形態の実効性ある対話が可能な体制となっています。投資先企業の状況把握については、経験豊富なアナリストおよびファンドマネージャーが、主に個別ミーティングを通じて行います。

具体的には、経営戦略全般に関する一般的な対話から、持続的成長、企業価値向上を促す深い対話に進展する過程で、中長期投資を目的に投資先企業の状況把握に努め、理解を深めます。エンゲージメントファンドを設定・運用する「エンゲージメント運用グループ」では、的を絞った企業を対象に、企業価値向上への提案を行いながら、運用成果の実現を狙います。

投資先企業との様々な対話の形態

中長期投資を進める上で、環境・社会・ガバナンス(ESG)等、非財務要素の的確な状況把握は欠かせません。環境問題への取り組み(E)」、「従業員・顧客・取引先・社会全般など利害関係者に対する社会的責任の果たし方(S)」、「経営の透明性、企業統治の態勢(G)」等は、投資先企業の外部環境変化に対する耐性・復元性、中長期成長の方向性に大きく影響を与えると考えるためです。当社はPRI署名機関として、ESG評価を中長期視点の企業分析の根幹として位置付け、非財務要素の分析に積極的に取り組みます。

【原則4】エンゲージメントに関する方針

企業は株主に対して、有限かつ貴重な資本の適正配分を通じて、最善のリターンを生み出す責任を負っていると考えられるため、当社は代表的なKPI(Key Performance Indicator)としてROEを重視します。さらにROEが株主資本コストを上回っているか、投資先企業が価値創造しているかどうかについて分析します。具体的には、最低でもROE 8%を継続的に上回る経営戦略の策定を求め、3年から5年後を目途に目標とするROE水準について、各社の過去実績、業界平均、グローバル競合企業の水準等を考慮して、投資先企業と認識の共有を図ります。

ROE向上に資する経営戦略については、業界環境を踏まえた効率的な投資、適正な財務資本構成、株主還元方針などを対話の論点としますが、余剰資金について当社は安易な株主還元を求めることはせず、資本コストを上回るリターンが期待できる投資案件があれば、再投資を強く促します。一方で、成長機会に乏しく余剰キャッシュを抱え企業価値を毀損している企業に対しては株主還元の拡大を促します。株主還元については、企業の成長ステージを前提に、将来の投資機会、財務健全性等を考慮し、資本コスト、ROEに裏付けられた合理的な株主還元方針を求めます。経営戦略、企業価値向上への寄与について具体的な説明のない政策保有株式は余剰資産とみなし、成長投資、株主還元に振り向けるよう働きかけます。

当社は外部環境の変化に適切に対応し持続的成長を達成できる経営陣を高く評価しますが、一方で、少数株主の利益を代表して企業経営を監督・監視する機能が必要と考えており、価値観の多様性を備え、かつ独立性の明確な複数の社外取締役の導入を求めていきます。さらにコーポレートガバナンス・コードへの対応状況、反社会的行為/社会的信用失墜行為の有無等についても対話の論点とします。これらの経営情報全般を調査、分析し、当社の知見により企業価値を向上させることが可能と判断した場合、投資先企業とより深い対話を行い、お客さま・受益者の皆さまが期待する投資リターンの獲得につなげます。一方で、投資先企業との対話を経て相互理解に至らない場合、お客さま・受益者の皆さまの利益を勘案し、最終的に保有する当該企業の株式を売却することがあります。

またパッシブ運用では、保有株式の売却が困難なファンド特性を踏まえ、継続保有を前提とした中長期視点のエンゲージメントをより強く働きかける必要があります。パッシブ運用の運用成果は株式市場価値と連動するため、時価総額上位の企業群を主な対象とし、株式市場の価値底上げを意識した明確なテーマを選択・設定します。低ROE・業績不振の企業、反社会的行為/社会的信用失墜行為を為した企業、ESG評価の低い企業等、企業価値向上の余地がある企業に対し、業績改善、情報開示強化等を促す対話を継続的に行う方針です。

なお企業との対話に当たり、他の機関投資家と協働した方が効果的と考えられる場合には、適切な条件の下で、重要提案行為を含む集団的エンゲージメントも視野に入れ、企業価値向上を狙います。

投資先企業との対話を進める上で、企業情報の管理も重要な責務です。当社は未公表の重要事実を受領することを極力回避します。万が一、インサイダー情報等を取得した場合には、当該企業に対して当該情報を速やかに公表することを促すとともに、当社内では情報管理責任者がこれを適切に管理し不公正取引を未然に防止します。当社ではインサイダー情報等に基づく不適切な投資判断を行いません。

【原則5】議決権行使、行使結果の公表に関する方針

議決権行使に関する基本方針 」をご参照願います。
当社は、議案分類毎の集計結果とともに、行使した全社全議案の賛否等をホームページ上で公表します(全件個別開示)。行使結果については、3、6、9、12月末を基準日として3ヵ月毎に取り纏め、それぞれの月末から2ヵ月以内に公表します。

【原則6】スチュワードシップ責任への取組み状況の報告に関する方針

当社は、エンゲージメント実績や議決権行使結果等スチュワードシップ活動についての必要な記録を残し、お客さま・受益者の皆さまへの報告等に活かします。また、スチュワードシップ責任をどのように果たしたかについて、エンゲージメントの事例を、原則年一回、ホームページ上で公表します。

【原則7】スチュワードシップ責任を果たすための実力維持および向上に関する方針

当社は、スチュワードシップ責任を果たすための実力を「投資先企業との目的を持った対話を通じて、中長期的に成長できる企業を見極め、また当該企業の持続的成長、企業価値向上を促すことにより、お客さま・受益者の皆さまが期待する投資リターンを実現する能力」と解釈します。機関投資家に求められる社会的責任や法制度等を深く理解し、投資先企業との信頼関係を基盤に有意義な対話を行えるコミュニケーション力、中長期成長企業を見極める分析力、企業価値向上の提案力などを高めることが必須と考えます。

当社は、対話する企業ごとにROEなどのKPIをモニタリング指標として設定し、実施した対話の内容を組織的に記録することで、将来の対話機会に備えるとともに定期的に成果の確認を行います。また「エンゲージメント部会」を設置し、全社的な情報共有を図るとともにスチュワードシップ活動方針を継続的に見直すことにより、アナリスト、ファンドマネージャーの対話力向上を狙います。目標とするKPIの進捗状況を中長期にわたって把握しながら、的を絞った対話を繰り返すことにより、スチュワードシップ責任を果たすための実力を継続的に高めていく考えです。

当社はリサーチ力の強化に強くコミットしており、上記の能力を維持、向上させるために、十分な経営資源を投入しています。独自のスマートデータベースを構築し、調査・運用業務の飛躍的なレベルアップを図りつつ、質・量ともに業界トップクラスのリサーチチームが中長期投資を目的にエンゲージメントを行います。2016年10月には「スチュワードシップ推進室」を設置し、「エンゲージメント方針の策定、推進」、「議決権行使方針の策定、推進」、「ESGの調査分析」を同室の専管事項として、スチュワードシップ活動の一層の高度化に取り組んでいます。また、エンゲージメント運用に定評のある外部運用機関と戦略的提携を行い、人材派遣などを通じて、同社の持つエンゲージメント手法・ノウハウを共有し、エンゲージメント力の強化を図っています。

ガバナンス面では、社外役員の独立性を確保し、さらにCEO、役員の選任基準、選任プロセスを明確化し、スチュワードシップ責任を実効的に果たすガバナンス体制を整備します。

またスチュワードシップ責任をどのように果たしたかについて振り返り、将来のスチュワードシップ活動がより適切に行われるための課題、対応方針を明らかにするため、本コードの各原則の実施状況を定期的に自己評価し、その結果を原則年一回、ホームページ上で公表します。

日本版スチュワードシップ・コードの原則

投資先企業の持続的成長を促し、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図るために、

  1. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
  2. 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。
  3. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。
  4. 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。
  5. 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。
  6. 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。
  7. 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。