【Vol.220】利下げ局面ではどんな資産のパフォーマンスがいいの?
2024年10月4日
一般的に、景気後退が懸念される利下げ局面では信用力の高い債券等が選好されやすくなります。一方、予防的な利下げ局面では株式が上昇する可能性も考えられます。
◆一般に、景気のサイクルと金融政策のサイクルには一定の連動性があると考えられます。景気が停滞・後退し始めると、景気を下支えするために政策金利は引き下げられる(利下げ)傾向にあります。一方、景気が拡大し、景気の過熱が懸念されると政策金利は引き上げられる(利上げ)傾向にあります。
◆利下げにより、市中金利は低下します。すると、債券では、新規に発行される債券の金利は、既存の債券の金利よりも低くなるため、既存の債券の価格は上昇します。また、利下げ局面では景気の見通しが良くない(景気後退懸念)場合が多く、債券の発行体による元利金支払いの不確実性が増すため、信用力の低い債券よりも、信用力の高い債券の方が選好されやすくなると考えられます。
◆株式では、利下げ局面にみられる景気の見通しの悪さに対して、消費者心理が悪化し、購買需要が減退すると企業の売上げや利益は減少するため、企業業績が悪化し、株価は下落すると考えられます。株式の中では、景気敏感株よりも、生活必需品等のいわゆるディフェンシブ株が選好されやすくなると考えられます。一方、金利低下により、企業は借入金等の利払い負担が軽減することから、設備投資需要等を下支えする側面もあります。
◆過去の米国の利下げ局面をみると、景気減速を懸念した利下げ(①、②)と、ITバブル崩壊やリーマン・ショックのようなショック時の景気後退に対する利下げ(③、④、⑤)等がありました。このうち①、②では、利下げが景気刺激的となり、株式・債券ともに上昇しました。一方、③、④、⑤では、株式は下落した一方、債券は上昇したか、下落しても株式よりも下落幅が小さくなりました。また債券の中では、信用力の高い投資適格債はハイ・イールド債よりもパフォーマンスが高くなりました。
◆2024年9月、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを開始しました。今回は景気後退に迫られた利下げというよりも、雇用市場やインフレの過熱が落ち着いたことで、景気急減速を懸念した予防的措置として、政策金利を中立水準に戻すための利下げとみられ、景気には刺激となり、株式市場には追い風となる可能性も考えられます。
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