ブラジルの金融政策(2016年10月)
0.25%の引き下げ:利下げサイクル開始示唆 【デイリー】
2016年10月20日
【ポイント1】0.25%の引き下げ

4年ぶりの利下げ
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、19日の通貨政策委員会で、政策金利を14.25%から14.00%に引き下げました。利下げは2012年10月以来4年ぶりですが、市場予想の通りでした。
■中銀はインフレ率の鈍化を受けて、景気を下支えするための利下げの環境が整ったと判断したと見られます。
【ポイント2】利下げサイクル開始示唆

インフレ見通しは低下
■16年9月の消費者物価指数は前年同月比+8.48%と、低下基調にあります。中銀は声明で、インフレ率の見通しを公表し、市場予想と同様に17年、18年の大幅な低下を見込んでいます。中銀は、緩やかな金融緩和の開始を示唆しました。
■声明では、ディスインフレが加速した場合や必要な経済調整(財政改革)が進んだ場合、より大幅な利下げを行う可能性があると指摘しています。
【今後の展開】ブラジルレアルは堅調な推移
■レアルは、米国の利上げの先送りや資源価格の上昇に加え、テメル政権による財政再建への期待が追い風になり、対米ドル、対円で上昇基調にあります。また、株式市場も好調で、代表的なボベスパ指数がおよそ4年半ぶりの高値をつけ、年初来の上昇が4割を超えるなど、海外からの資金流入もうかがえます。
■国際通貨基金(IMF)が発表した最新の経済見通しで、「ブラジルは17年にマイナス成長から脱する」との予測が示されたように、経済成長の停滞観測が後退したことが投資家心理を好転させています。利下げにも支えられた景気底入れやテメル政権の財政改革への期待が今後もレアル相場を支えそうです。