ホームマーケット日々のマーケットレポートブラジルレアルの最近の動向と今後の見通し  通貨政策が当面の注目、投機的な動きは抑制へ【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

ブラジルレアルの最近の動向と今後の見通し  通貨政策が当面の注目、投機的な動きは抑制へ【デイリー】

2015年3月11日

【ポイント1】年初来対円で約13%下落

連続利上げでも歯止めかからず
■ブラジルレアルは、3月10日のニューヨーク市場(17:00)で年初から対円で約13%、対米ドルで約17%下落しています。

■3月5日にブラジル中央銀行(以下、中銀)が昨年10月以降で4会合連続となる政策金利の引き上げを行いましたが、これまでのところレアルの下落に歯止めがかかっていません。

【ポイント2】物価高と通貨安の悪循環に

通貨政策方針転換の思惑も
■レアル下落の主な要因は、通貨安が輸入物価上昇によるインフレ高進をもたらし、利上げが大幅になることでさらに景気が低迷、これが通貨安に追い打ちをかけるという悪循環と見られます。財政健全化法の議会での審議が不調で、成立の見込みが立たないことやブラジル石油公社(ペトロブラス)をめぐる不正献金問題の追及が大物政治家に及び、大統領への支持が急速に低下していることもレアル安に影響しています。

■中銀の現在の通貨安抑制プログラム(レアル買いの為替介入)が3月31日で終了するにあたり、通貨防衛から通貨安容認に方針転換するとの思惑も浮上しています。こうした思惑もレアル安に拍車をかけています。

【今後の展開】中銀の通貨防衛姿勢の継続が当面のカギ

■中銀は、物価抑制が経済政策の最重要課題と認識していることから、利上げは当面続くとの見方が市場の大勢です。当面の注目は3月末で終了する為替介入の継続とみられます。中銀によるレアル防衛の姿勢が示されると、投機的な動きは抑制されると見られます。また、ブラジルの主要な輸出資源である鉄鉱石価格底入れや需要の反転も、景気への懸念が好転する材料と見られ、世界経済の回復期待が維持されることは、レアルの支援材料と見られます。

■財政緊縮策は、国民には不人気な政策ですが、中長期的な経済発展のためには欠かすことの出来ないプロセスです。ただし、足元の景気低迷への不満から、政治不信は増幅されやすい状況でもあり、国会での政策審議の停滞は、当面のレアルの不安定要因となりそうです。

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