最近の指標から見るブラジル経済(2014年9月) 景気は緩やかながら回復に向かう見込み【デイリー】
2014年9月24日
【ポイント1】4-6月期はマイナス成長
消費と純輸出は景気を支える見込み
■4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比▲0.9%と、マイナスに転じました。需要項目別の寄与度を見ると、設備投資のマイナスが拡大したほか、個人消費のプラスが縮小しました。ブラジル中央銀行(以下、中銀)の利上げ(昨年4月以降合計3.75%、現在の政策金利は11.00%)が主な内需抑制要因になったと見られます。一方、純輸出(輸出-輸入)はプラスが拡大しました。
■賃金の上昇などを背景に個人消費はプラス寄与が続くと見られます。米国や中国などの景気が底堅く、純輸出も景気を下支えすると見られ、景気は緩やかながら回復に向かう見込みです。

【ポイント2】物価上昇率は高止まりが続く見込み
公共料金の引き上げなどが要因
■9月前半の消費者物価指数は前年同月比 +6.62%と、中銀の目標レンジ(年+2.5%~ +6.5%)上限を上回りました。内訳では、サービスが同+9%台に上昇したほか、電力料金引き上げなどから住宅が同+8%台と高止まりました。
■中銀は、賃金上昇や公共料金引き上げなどの影響が和らぐには時間がかかると見ており、物価上昇率は高止まりが続きそうです。

【今後の展開】経済政策の刷新により、中長期的な海外からの投資拡大に期待
■中銀は9月3日、5月以降3会合連続となる政策金利の据え置きを発表しました。中銀の調査では物価上昇率の高止まりが来年も続くと見込まれています。中銀は景気に配慮しながらも、政策金利を当面現在の高水準で維持すると思われます。
■ブラジルでは、10月に大統領選挙が予定されています。利下げによる景気支援が期待しづらいなか、2期目を目指すルセフ現大統領は苦戦しています。一方、ブラジル社会党のシルバ氏が財政再建や物価目標の重視といった透明性の高い経済政策を掲げて善戦しています。経済政策の刷新は中長期的な海外からの投資拡大につながり、消費と純輸出とあわせて景気回復の支援材料として期待されます。