政局と日本株式市場の動向
政治リスクは残るが株価の上昇基調は継続する公算 【デイリー】
2017年8月9日
【ポイント1】第2次安倍政権で進んだ円安・株高は膠着
内閣支持率に関心が集まる
■2012年の第2次安倍内閣の発足後に進んだ円安・株高は、アベノミクスによる異次元金融緩和策と機動的な財政政策が主因です。
■ところがNYダウが史上最高値を更新する中、足元では日本株も円相場も狭いレンジで推移しており、膠着感が強まっています。政権発足以来の高い水準だった内閣支持率が、森友・加計学園問題や強引な国会運営などへの批判から急低下したことも要因です。こうした事態に対して安倍首相は8月3日に内閣改造を行い支持率と求心力の回復を目指しました。
【ポイント2】安定・実績重視
支持率はある程度回復
■今回の内閣改造・党役員人事は政権の骨格を維持しつつ、首相から距離を置く議員を閣内に取り込むことに腐心した手堅い人事となりました。
■問題となった防衛、法務、文部科学大臣には実務能力に対する評価が高く、閣僚経験者でもある小野寺五典氏、上川陽子氏、林芳正氏を起用しました。
■一方でハト派色の強い岸田前外務大臣を政調会長に起用し、首相と距離のある野田聖子氏や河野太郎氏を政権に取り込みました。
■改造後の世論調査で内閣支持率の回復は小幅にとどまり、株式市場も目立った反応はありませんでした。

【今後の展開】政治リスクは残るが株高基調は継続の見込み
■改造後の世論調査で安倍首相に対する支持率は大きくは回復しておらず、政治リスクは残ります。ただ今回の改造で実務能力の高さと、首相と距離のある議員の起用による挙党体制に配慮した点などは評価されます。当面の政策運営は支持率回復のため経済優先に回帰するとみられ、国内の企業業績も良好なことから株式市場の上昇基調は継続する可能性が強いと見られます。
■今後の政治日程では民進党の党首選や10月の衆議院の2補選などが注目されます。民進党首選で小池東京都知事と同じ日本新党出身で政治信条の近い前原誠司氏が敗れ、2補選で自民党が連敗した場合政界再編が進む可能性もあり注目されます。
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