大納会の日本株市場 年末年始の休暇を前に、ギリシャ、ロシア関連リスクを回避【デイリー】
2014年12月30日
【ポイント1】ギリシャ、ロシアを懸念
3年連続の年間高値引けならず
■今年の大納会を迎えた12月30日、日経平均株価は前日比▲279.07円の17,450.77円と下落しました。29日に行われたギリシャ大統領選挙の3回目の投票で与党候補が必要な投票数を得られなかったことから、来月の総選挙実施が決まり、政局が不透明となったことが株価下落の主因と見られます。ギリシャでは、財政緊縮により景気が低迷する中、反緊縮派が優勢となり、債務問題が再燃する懸念が高まっています。
■また29日、ロシア経済省は11月のGDPが前年同月比マイナスになったと発表しました。これをきっかけにロシアルーブルが対米ドルで大幅に下落したこともリスク回避の動きを強めました。

【ポイント2】ユーロは対米ドルで約2年5カ月ぶりの安値
対円では影響が限定的
■為替市場では、ユーロが対米ドルで約2年5カ月ぶりの安値に下落しました。ギリシャの政情の不透明感に加え、ロシア経済混迷のユーロ圏景気への影響が懸念されたと見られます。
■一方、ユーロ、米ドルの対円レートは、若干円高方向に振れたものの、これまでのところ大きな動きは窺われません。

【今後の展開】円安による企業業績の上方修正と景気対策の効果に期待
■日米の金融政策の方向性の違いが鮮明となり、円安圧力は残りそうです。円安は、急激な場合は消費や投資への影響が懸念されますが、輸出企業の業績改善などを通じて全体としてはプラスとの見方が優勢です。円安による企業業績拡大、賃金増加、消費拡大への好循環が期待されます。
■日本では、消費税増税後の消費の回復が弱く、物価の見通しが下振れています。日銀の金融緩和拡充と政府の景気対策の効果により景気が上向くことが期待されます。年明けの株式市場は、リスク要因は残るものの、景気と企業業績に注目がより集まる展開となることが見込まれます。