ホームマーケット日々のマーケットレポートOPEC減産見送りにより、原油価格はさらに下落【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

OPEC減産見送りにより、原油価格はさらに下落【デイリー】

2014年11月28日

【ポイント1】OPECが減産を見送り

加盟国間での意見が一致せず
■27日、石油輸出国機構(OPEC)は定例総会において、加盟国(12カ国)の生産目標を現在の日量3,000万バレルで据え置くことを決定しました。

■今年6月以降、原油価格が下落していることなどを受け、ベネズエラやイランなどは減産を主張していました。一方、サウジアラビアなどは今後の世界景気の回復により原油価格は上昇するとの見方を示すなど、加盟国間での意見が一致せず、減産は見送られました。

【ポイント2】WTIは70ドル割れ

需要見通しの下方修正が背景
■OPECの減産見送りを受け、28日の原油価格(WTI原油先物)は1バレル68ドル台と、70ドルを割り込みました。これは2010年5月以来の安値水準です。

■11月6日には、OPECが2014年の世界石油見通しで石油需要の見通しを下方修正していました。米国を中心としたシェールガス/オイルの生産増加による従来の石油に対する需要減少が背景にあります。加えて、足元では欧州や中国などの景気減速により、石油需要が弱含む見通しとなっていることも一因です。

■今回のOPECの減産見送りには、シェールガス/オイルの生産抑制を狙う思惑もあるとの見方もあります。

【今後の展開】景気回復に伴う需要持ち直しにより、原油価格は落ち着く見込み

■原油価格の下落は、コスト低下という面からも経済活動全体にはプラスと考えられます。ただし、原油生産国および生産者にとっては収益を圧迫することが懸念されます。また、シェールガス/オイル関連企業などは、ハイ・イールド債券(低格付け債券)を発行しており、それら一部の債券価格の下落などにも影響がありそうです。

■原油のほとんどを輸入する日本では、原油価格の下落は円安による国内価格上昇を抑制する要因となります。そのため、コスト低下や購買力の向上などを通じて、日本経済にはプラスです。今後は、世界経済の回復に沿って石油需要が持ち直す見通しが立てば、原油価格は落ち着くと思われます。

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