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ガソリン価格の値下がり(日本)【キーワード】

2014年11月18日

<今日のキーワード>
ガソリンの店頭価格は、石油元売り各社が小売店(ガソリンスタンド)に卸す際の卸値や、ガソリンを販売する小売店間の競争環境などが反映されて決まります。また、元売り各社の卸値は、①原油を仕入れる際の基準となる国際価格(NY市場のWTI原油先物など)や、②為替レート(原油の取引は主に米ドル建て)、③軽油など競合するエネルギー価格、などによって決まります。

【ポイント1】ガソリン価格は17週連続で下落

直近ピークの1リットル169.9円から10円以上の値下がり
■資源エネルギー庁が発表した直近のレギュラーガソリンの全国平均価格(11月10日時点)は、1リットルあたり159.5円でした。これは、直近の高値だった169.9円(7月14日時点)から10円以上の値下がりで、17週連続で下落しています。背景には原油価格の下落があります。NYのWTI原油先物価格は1バレル(約159リットル)75.82ドル(11月14日時点)と、今年6月につけた直近の高値である同107ドル台から30%程度下落しています。

【ポイント2】OPECは石油需要見通しを下方修正

中国や欧州の景気減速が足元の下落の一因
■原油価格下落の理由として、原油需要の減少が挙げられます。中国や欧州を中心に景気減速が見られることがその一因です。しかし、足元ではまだOPEC加盟国で減産の動きは見られず、市場では供給過剰を見越して原油価格が大幅に下落しました。

■また、11月6日にOPECが発表した2014年の世界石油見通しでは、2017年の石油需要見通しが2013年から下方修正されました。シェールガス/オイルの供給増加などにより、従来型の原油の需要が減少すると見られています。

【今後の展開】原油安は円安による国内価格上昇を抑制、日本経済にはプラス

■足元の急速な円安は価格上昇要因
10月28日、29日のFOMCでQE終了が決定された一方、同31日には日銀が量的・質的金融緩和の大幅な拡充を発表しました。日米間の金融政策の方向性の違いがより明確となったことから、米ドル高円安が急速に進展しました。米国経済が底堅い成長を見せる一方、日本では2四半期連続のマイナス成長となるなど景気回復にはもたつきが見られ、今後も円安基調となりそうです。円安はガソリン価格の上昇要因ですが、原油価格の下落はこれを抑制すると思われます。

■多様なエネルギー源の台頭は価格抑制要因
今後もシェールガス/オイルなどの供給増加が見込まれる一方で、OPEC加盟国間ではそれぞれの利害から減産の合意には達しにくいとの見方もあり、当面原油価格は弱含むと思われます。これはガソリン価格の抑制要因です。円安で海外からの様々な調達コストの上昇が懸念されるなか、原油のほとんどを輸入に頼る日本では、原油価格やガソリン価格の下落はコスト低下や購買力の向上につながり、日本経済にプラスと考えられます。

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