ホームマーケット日々のマーケットレポートユーロ圏の金融政策(2014年10月)  民間資産購入を開始し、金融緩和強化【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

ユーロ圏の金融政策(2014年10月)  民間資産購入を開始し、金融緩和強化【デイリー】

2014年10月3日

【ポイント1】民間資産購入開始へ

政策効果には不透明感残る
■欧州中央銀行(ECB)は2日、先月9月の理事会で引き下げた政策金利、預金金利を、それぞれ0.05%、マイナス0.20%に据え置く決定をしました。

■前回決定した民間資産の購入について、資産担保証券(ABS)は2014年10-12月期以降、カバードボンドは10月中旬以降に購入を開始し、少なくとも今後2年間は続けると公表しました。

■政策金利の引き下げ余地が乏しいことから、ECBは資産購入の範囲と規模の拡大により金融緩和を強化していくとみられていました。今回の決定はそうした方向性に沿った動きです。

■ただし、今回は資産購入額は示されず、政策効果を予想するうえで、不透明感が残りました。

【ポイント2】デフレ懸念が増大

物価は+0. 3%とデフレ懸念拡大
■9月の消費者物価指数(速報値)は前年比+0.3%と上昇率が鈍化し、景況感も悪化しています。デフレ懸念も台頭し始め、金融緩和の強化による物価、景気への波及効果が期待されます。

【今後の展開】ECBの国債購入への期待感から、ドルに対するユーロ安は継続か

■9月に実施されたTLTROの利用総額は1,000億ユーロにも届かず、事前の予想を下回りました。今回の民間資産購入開始により、ECBのバランスシート規模は想定される1兆ユーロ(約137兆円)に届くとの見通しを持てるかが注目されます。

■仮に、金融緩和が不十分であるとの評価が市場に広がれば、国債購入など次の一手への期待が今後高まると思われます。米欧での金融政策の方向性も異なり、ユーロ安圧力が一段と増すことが予想されます。

■株式市場では、低金利環境とユーロ安による企業業績の回復の継続期待から、底堅い推移が見込まれます。ただし、地政学リスクの広がりを受けての投資家心理の悪化などによる、一時的な変動の高まりに注意が必要です。

■債券市場では、金融緩和が長期化するとの観測から、国債利回りは低位で推移する見込みです。

■為替市場では、ドルに対してはユーロ安が見込まれる一方、円に対しては、日銀の追加緩和観測もあり、一進一退が予想されます。

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