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欧州のストレステスト(ユーロ圏)【キーワード】

2014年9月18日

<今日のキーワード>
ストレステストとは、欧州中央銀行(ECB)が行う銀行の健全性の審査です。経済環境等が悪化した場合などを想定して、銀行として資産の健全性が保てるかどうか衝撃吸収力を検査するものです。今回のストレステストは、ECBが直接関与している点が大きな特徴です。結果は、「資産査定」と合わせて、11月の単一銀行監督制度(SSM)発足前に公表される予定です。

【ポイント1】ECBとして初の包括的審査

SSMの信頼確立のために重要
■ストレステストはユーロ圏の128行(*)を対象に行われ、「資産査定」と合わせて、「包括的審査」と言われます。金融危機後、欧州銀行監督機構(EBA)などがテストを実施しましたが、合格した銀行が破たんし、債務危機に拍車をかけたことなどから、信頼を確立できませんでした。今回はECBがEBAと協力しつつ、初めて行うテストで、SSMの信頼が確立できるかどうかに注目が集まります。
(*)ドイツ24行、スペイン16行、イタリア15行、フランス13行、オランダ7行、オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグ各6行、アイルランド5行、ギリシャ、キプロス、ポルトガル各4行等その他合計で128行。ユーロ圏銀行資産の約85%に相当。

【ポイント2】資産を査定しストレステストを実施

透明性の確保と信頼性の確立が目的
■包括的審査の目的は、銀行の資産状況の透明性を確保し、信頼性を確立することです。

■具体的には、①流動性などの主要リスクの評価、②資産価値などの質の査定、③銀行に経済的ショック等を与えた場合の衝撃吸収力の検査(ストレステスト)、といった審査を行います。

【今後の展開】資本増強はある程度進展

■資本不足の場合は自助努力が優先
包括査定で資本不足が指摘された銀行には、必要な是正措置や是正期間が公表されます。まずは、増資や資産の売却等の資本増強を行うなど、銀行の自助努力や利害関係者の負担による穴埋めを優先します。それが困難な場合に、公的資金を利用することになります。公的資金の利用順位は、①母国政府の破綻処理基金、②母国政府経由の欧州安定メカニズム(ESM)の銀行支援、③ESMによる直接支援、となっています。

■多額の資本が必要となる可能性は小さい
包括的審査の結果、どの程度の資本が必要となるかは未定です。低成長、低インフレ率、利ザヤの縮小が銀行の収益を圧迫し、不良債権も増加しており、厳しい環境が続いています。ただ、査定の基準となった時点が2013年12月末もしくは2014年3月末であり、その後資本増強も進められてきていることから、さらに多額の資本が必要となる可能性は小さいと思われます。

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