ホームマーケット日々のマーケットレポートユーロ圏の金融政策(2014年9月)  追加利下げと資産購入の決定でユーロ安【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

ユーロ圏の金融政策(2014年9月)  追加利下げと資産購入の決定でユーロ安【デイリー】

2014年9月5日

【ポイント1】利下げと資産購入を決定

購入対象や額は10月発表へ
■欧州中央銀行(ECB)は4日、政策金利、預金金利を0.10%ずつ引き下げ、それぞれ0.05%、マイナス0.20%とすることを決定しました。

■利下げに伴い、9月18日から開始される資金供給策「TLTRO」に適用される金利も、0.15%(4年物、固定)に低下します。

■加えて、資産担保証券(ABS)やカバードボンドなど、民間資産の購入方針も決定されました。詳細は10月に発表されます。ABSの市場規模は1,000億ユーロ程度、カバードボンドの発行額は年間1,000億ユーロ程度です。なお購入対象の拡大が必要との指摘も多く、今後は住宅ローン担保証券(RMBS、市場規模は約6,000億ユーロ)などへ対象を拡大する可能性があります。

【ポイント2】景気・物価見通しが下振れ

スタッフ見通しは再度の下方修正
■当初、ECBは9月開始のTLTROの効果を見極め、追加策を検討すると見られていました。しかし、8月にはドラギ総裁が物価の中期見通しの下振れに言及し、今回の追加策決定につながりました。

【今後の展開】銀行貸出促進と資金供給で金融緩和を強化、低金利は長期化見込み

■声明文には、今回の決定により、ECBのバランスシートが大きく拡大する旨が明記されました。まだ国債購入などには踏み込んでいないものの、市場では一段の資産購入拡大に向けた一歩ととらえる向きが多く、結果的に大量の資金供給がユーロ安圧力となることが想定されます。

■9月から実施されるTLTROの利用総額は6,000億ユーロ程度とも見られ、今後の資金供給額は、資産購入と合わせ1兆ユーロ超とも見込まれます。

■株式市場では、ウクライナ情勢の緊張が和らぐなか、ドイツなどの欧州株が反発しています。低金利環境とユーロ安に加え、米中景気の持ち直しなどから企業業績の回復が続き、株式市場は底堅く推移しそうです。

■債券市場では、金融緩和の期間が長引くとの観測から、債券利回りは低位で推移しそうです。

■為替市場では、ECBの追加緩和観測がユーロの上値を抑えそうです。一方、日銀の追加緩和観測もあり、ユーロ円は一進一退となりそうです。

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