ベージュブック(米国)【キーワード】
2014年10月21日
<今日のキーワード>
「ベージュブック」は、米国の12の連邦準備銀行(地区連銀)が管轄地区の動向を報告する「地区連銀経済報告」のことです。報告書の表紙がベージュ色のため、『ベージュブック(Beige Book)』と呼ばれます。報告は連邦公開市場委員会(FOMC、年8回開催)が開催される2週間前の水曜日に公表され、各地区の経済活動のほか、主要産業の動向や物価動向などがまとめられています。
【ポイント1】前回報告と概ね変わらず「改善ペースは緩やか」
12地区の中で11地区が「緩やかなペースで成長」と報告
■10月15日、最新の「ベージュブック」が発表されました。12地区連銀の中では1地区で状況はまちまちとの報告でしたが、その他の地区からは概ね緩やかなペースでの成長が報告され、全体としては「改善ペースは緩やか」とまとめられました。
【ポイント2】労働力需要に底堅さ
消費動向や製造業にも拡大が見られる
■消費動向については1地区でやや弱いとの報告もありましたが、全体としては概ね緩やかな増加と報告され、年末に向けて比較的楽観的な見方が多く示されました。
■製造業は大半の地区において活動が上向いており、幅広い業種において成長が見られています。一方、不動産はまちまちの状況にあり、集合住宅は増加傾向ですが、戸建てはいくつかの地区で弱くなっています。また商業用の不動産については成長が継続しているようです。
■雇用については、労働力不足が建設の遅れに影響しているなどの報告があり、労働力への需要は底堅いと見られます。賃金は緩やかに上昇していますが、労働力への需要を背景に一部の職種には上昇圧力が見られます。

【今後の展開】米国経済の緩やかな拡大は続き、QEは予定通り10月で終了へ
■今回の結果も受け、QEは終了決定へ
「ベージュブック」はFOMCの2週間前に発表されますが、今回の報告結果を受けても、次回10月28日、29日に開催予定のFOMCでQEは見込み通り終了すると思われます。今後は、報告に見られた労働力への需要が賃金上昇圧力となり、さらに物価上昇へと繋がることで、いつ利上げ開始となるのかが注目されます。足元では国債利回りが低下しており、利上げ時期の市場予想はやや後ずれしています。
■景気減速懸念が高まるも、緩やかな拡大見込み
10月に入り、IMFが世界経済見通しを下方修正したほか、FRBは欧州経済の減速が米国経済に影響することへの懸念を表しています。10月に発表された米国の経済指標を見ると、市場予想を下回るものも多くありました。しかし、雇用環境は着実に回復し、企業景況感は高水準を維持していることなどから、米国経済は緩やかな拡大が見込まれます。