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原油価格の動向(グローバル)【キーワード】

2014年10月10日

<今日のキーワード>
「原油価格」は油種により価格が異なるため、代表的な指標で値動きを見るのが一般的です。主な指標にはWTI(West Texas Intermediate)やブレント(北海)、ドバイなどがあります。原油の生産地は中東地域が多く、同地域において地政学リスクが高まると、生産が滞るなどの懸念が高まり、「原油価格」の動向に影響を与えます。

【ポイント1】「原油価格」は年初から6月頃まで上昇し、その後下落

WTI先物価格は6月のピークから約18%下落
■「原油価格」の最近の動きをWTI先物価格で見ると、2014年1月の1バレル(約159リットル)=91米ドル台から、ウクライナ情勢の緊迫化などを背景に、6月には同107米ドル台まで上昇しました。その後、6月にはウクライナ情勢が落ち着きを見せ始めた一方、イラク情勢が悪化し始めました。東欧や中東といった原油や天然ガスの豊富な地域で地政学リスクがくすぶり続けるなか、「原油価格」は6月のピークから下落し、足元(10月8日時点)では同87.3米ドルと、ピークから約18%下落したことになります。

【ポイント2】世界経済の減速から需要減

IEAは3カ月連続で需要見通しを引き下げ
■欧州や、中国などの新興国の経済成長が鈍化しており、世界的な原油需要は低迷すると思われます。こうしたことから国際エネルギー機関(IEA)は、9月に2014年の石油需要見通しを3カ月連続で引き下げました。

■また、新たなエネルギー源として注目されている「シェールガス/オイル」の増産の一方で、従来の原油の供給量には大きな変化がないことから、エネルギーの需給が緩み、「原油価格」に下押し圧力がかかっていると考えられます。

【今後の展開】「原油価格」下落は、企業のコスト減や、電気・ガス料金の値下がりへ

■米ドル高から原油価格は下落?
主要先進国を見ると、欧州は景気低迷を背景に金融緩和政策を強化しており、日本は消費税増税後の景気回復にもたつきが見られます。一方、米国の金融緩和政策は出口に向かっており、主要国間の金融政策の方向性の違いから米ドル高となっています。市場の投資資金が原油などの商品から、米ドル建ての資産に向かっていることも「原油価格」の下押し要因と考えられます。

■「原油価格」下落は日本経済にプラス?
「原油価格」は様々な石油製品価格に影響します。日本では原油のほとんどを輸入に頼るため、円安・米ドル高は輸入価格を押し上げ、企業にとってはコスト高となります。足元で「原油価格」が円換算でも下落していることは、このコスト増の緩和につながり、企業業績にはプラスと捉えることも出来ます。私たちの日常生活においても、これまで上昇してきた電気・ガス料金の値下がりにつながり、消費を後押しすることが期待されます。

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