ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,336】ウクライナ大統領に「チョコ王」、市場の見方は?(東欧)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,336】ウクライナ大統領に「チョコ王」、市場の見方は?(東欧)

2014年5月27日

1.ウクライナ大統領選と「チョコ王」とは?

 ウクライナで25日に投開票された大統領選では、ペトロ・ポロシェンコ氏(48)が過半数の支持を獲得し、6月15日に予定された決選投票を待たずして、当選しました。欧米諸国からは、歓迎の声が聞かれます。
 ポロシェンコ氏は、外相や経財相を経験した政治家としての顔を持つ一方、実業家としても菓子製造・販売で財を成した富豪であり、「チョコレート王」の異名を持ちます。対抗馬と見られた「ガスの女王」ことティモシェンコ元首相らと比べ、政争や汚職問題との関連が少ないクリーンな候補として、好感されました。市場では、「現実的な妥協点を見つけることができる人物」と、期待含みの評も聞かれます。

2.最近の動向

 ポロシェンコ氏の優勢は世論調査で事前に判明していましたが、市場参加者は決選投票を前に結果が出たことを好材料と受け止めたと見られます。多くの有権者がロシアとの緊張関係の打開を求めるなか、優勢と見られた同氏へと浮動票が地滑り的に入ったとも指摘されます。
 ポロシェンコ氏は、EU加盟を公約に掲げる一方、ロシアとの関係正常化に前向きです。ロシアのプーチン大統領は事前に「選挙の結果を尊重する」との姿勢を示しており、ウクライナとロシア間での対話の進展が期待されます。

3.今後の展開

 ウクライナ東部の親ロシア派勢力は、ロシアが今回の結果を認めて対話を進めた場合、「独立宣言」のような強硬策を採りにくくなりそうです。また、ポロシェンコ氏は選挙中の海外メディアとのインタビューにおいて、国土が一つであることを守る強い意志を示す一方、(親ロシア派の懐柔のために)地方自治の拡大などに応じる可能性を示唆していました。今後の課題は、新大統領とロシア、親ロシア派との妥協点の模索となり、ウクライナは国内に火種を抱えながらも、衝突が拡大する懸念は和らぎそうです。
 また、ポロシェンコ氏は長期的にはEU加盟を志向しており、これも市場からは好感されました。欧米諸国はIMFなどを通じ、ロシアへのガス代金支払いが滞る同国への金融支援を続けていく方針です。こうした支援などによって、ひとまずロシアと欧州間の緊張が一段と緩和に向かった場合、金融市場ではリスク回避姿勢の後退も想定され、ウクライナおよびロシアの動向には、今後も注目が集まります。

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