ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,286】ウクライナ情勢の鍵を握る「クリミア自治共和国」(東欧)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,286】ウクライナ情勢の鍵を握る「クリミア自治共和国」(東欧)

2014年3月12日

1.「クリミア自治共和国」とは?

 1991年のソビエト連邦崩壊後、クリミア半島はウクライナの一部となりました。翌年クリミア半島は独立を宣言しましたが、ウクライナ内の自治区となることで合意し、「クリミア自治共和国」が誕生しました。クリミア半島はウクライナが領有し、セヴァストポリ特別市(*)を除く全土が「クリミア自治共和国」となります。
(*)セヴァストポリ特別市:半島先端にあり、歴史的に数多くの戦闘が繰り広げられました。黒海全体を見渡せるため、ロシアの戦略にとって重要な土地です。ロシアはセヴァストポリ港にロシア軍艦隊を駐留する権利(ウクライナからの租借)を保有しています。

2.最近の動向

 3月5日、ロシア軍は通常の演習とする軍事演習を実施しました。そしてさらに10日には、ウクライナ軍が軍事演習を開始する事態に発展しました。この間、米国はロシアの在米資産の一部凍結や渡航禁止などの制裁措置を発動し、欧州連合(EU)は制裁の発動準備に入りました。
 そうした状況下、ウクライナ南部の「クリミア自治共和国」において、16日にロシアへの編入是非を問う住民投票を実施することとなり、注目が集まっています。

3.今後の展開

 16日に実施される住民投票では、「ロシアへの編入」か「ウクライナ領内での自治権拡大」が問われることとなります。「クリミア自治共和国」の人口は196.7万人(2014年1月1日現在、ウクライナ国家統計局)で、50%以上がロシア人と言われてます。親ロシア派が多いことからも、ロシア編入が選択される可能性が高いとの見方が優勢です。しかし、ウクライナ政府と欧米諸国は今回の住民投票はそもそも違法との立場をとっています。11日には、住民投票に先駆けてクリミア議会がセヴァストポリ特別市と共にウクライナから分離・独立をするという「クリミア共和国独立宣言」を採択しました。この独立宣言を前提とすることで、住民投票の結果と合わせロシア編入に対する国際法上の合法性を見出そうという狙いがあると思われます。
 こうした中、ウクライナの通貨であるフリヴニャは一時大きく売り込まれ、PFTS株価指数は一時大きく上昇していましたが、ともに足元では落ち着いた動きとなっています。一方、ロシアルーブルの対ドルベースでの下落は止まらず、株式市場も引き続き低迷を余儀なくされてます。市場では、ロシアに対して厳しい見方をしている格好です。ウクライナ情勢の一つの鍵を握る「クリミア自治共和国」での住民投票後も、関係各国との調整は難航すると考えられ、ロシア金融市場にはマイナスの影響が懸念されます。

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