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ユーロ圏の景気と金融政策(ユーロ圏)【キーワード】

2014年10月3日

<今日のキーワード>
ユーロ圏(EUに加盟する28カ国のうち通貨ユーロを導入する18カ国)経済は、ドイツ、フランス、イタリアが約半分の規模を占めています。現在こうした主要国を中心に経済が低迷しており、2014年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.2%にまで落ち込んでいます。これに対し、欧州中央銀行(ユーロ圏の中央銀行、ECB)は歴史的な金融緩和措置を採っています。

【ポイント1】今年に入り景況感は低下傾向

デフレ懸念強まる
■ユーロ圏の製造業の景況感を示す購買担当者景況感指数(PMI、50ポイントが中立水準)を見ると、2014年1月に54.0ポイントまで上昇したあと、足元の9月には50.3ポイントとなっており、低下基調が続いています。

■ユーロ圏消費者物価指数(HICP)の9月速報値は前年同月比+0.3%と上昇幅が縮小傾向にあり、ECBが目標とする同+2.0%弱の水準を大きく下回っています。

【ポイント2】金融政策は緩和方向

利下げと資産購入策を導入
■ECBは2011年11月に利下げを開始し、政策金利は当時の1.5%から、2014年9月には0.05%にまで引き下げられ、ほぼゼロ金利となっています。また、2014年6月には銀行が各国中央銀行に預け入れる際の金利(中銀預金金利)をマイナスとする「マイナス金利(※)」が導入され、2014年9月からは▲0.2%となっています。

■金融危機以降、ECBは政策金利の引き下げだけではなく、様々な緩和的措置を採ってきました。2014年9月の理事会では新たに資産担保証券(ABS)やカバードボンドなど、民間資産の購入が決定され、10月の理事会ではABSを2014年10-12月期以降、カバードボンドを10月中旬以降、買取を始めることが発表されました。
(※)中央銀行への預金に手数料に相当する利息がかかるため企業などへの貸し出しを促す。

【今後の展開】強力な金融緩和策の効果による景気下支えに期待

■今後の資産購入規模に注目
10月の理事会では資産購入の規模は示されませんでしたが、前回の理事会で今後のECBのバランスシート拡大が表明されています。今後は住宅ローン担保証券(RMBS)や国債購入の可能性なども含めて、資産購入規模がどの程度となり、金融緩和効果が発揮されるのかが注目されます。

■米国やアジアの景気回復・拡大が追い風
域外経済を見ると、米国では景気拡大が続き、アジアでは景気の持ち直しが期待されていることから、ユーロ圏の輸出の回復が見込まれます。これに加えて、現在行われている金融緩和政策により、域内景気と物価上昇率が下支えされることが期待されます。

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