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TLTRO(ユーロ圏)【キーワード】

2014年9月10日

<今日のキーワード>
TLTRO(テルトロ)とは、欧州中央銀行(ECB)が9月18日から始める資金供給措置です。「対象を定めた長期リファイナンスオペ」などと訳されます。この措置は域内銀行に4年間固定金利で資金を貸し出します。金利は政策金利に0.1%上乗せという低水準です。一方、貸出額に応じた利用上限があり、利用のためには貸出増が求められる仕組みです。四半期ごとに計8回オペが行われます。

【ポイント1】追加利下げはTLTRO利用を促す

一段の低金利、「最低水準」とも明言
■9月からTLTROを実施するに当たり、ECBは9月の理事会で、0.1%の利下げなどを決定しました。これによりTLTROに適用される金利も一段と低下し、使い勝手が向上した格好です。また、ドラギECB総裁は、0.05%とされた政策金利が「これ以上低下することはない」とも明言しました。ECBは銀行が様子見姿勢を採らず、積極的にTLTROを利用することを期待しています。

【ポイント2】利用は6,000億ユーロ程度か

ECBの当初の予想1兆ユーロは達成難
■9月の第1回目、12月の第2回目までのオペにおいて、TLTROの利用上限は、約4,000億ユーロとなります。これは、今年4月30日時点の個人・企業向け貸出(住宅ローン除く)の7%に相当する額です。

■3回目以降のオペでは、金融機関が増やした貸出額の3倍相当が、新たに上限枠に追加されます。

■ECBは当初、TLTROの最終的な利用額が1兆ユーロに達するとしていました。しかし、足元の動向から見ると、6,000億ユーロ程度の利用に留まると見られます。

■資金が必要な大企業は、社債発行などで市場から調達することが十分可能です。一方、銀行貸出に頼る中小企業の資金需要はまだ低調なことなどが背景です。

【今後の展開】TLTROの不調は資産購入との合わせ技でカバーへ

■ECBは民間資産の購入を決定、合わせ技へ
ECBは9月の理事会で、民間資産の購入を決定し、詳細は10月に発表としました。銀行を介した措置であるTLTROでは力不足と見られる現状を、ECBが主導できる資産購入で支える方針と見られます。なお、9月の理事会でドラギ総裁は、財政支出拡大も必要との見解を示しました。中銀が財政政策に言及するのは異例ですが、こうした違った角度から、一段の支援策が追加されるかに注目です。

■貸出促進の効果は限定的、ユーロ安要因
TLTROおよび民間資産購入が、銀行貸出を促す効果は限定的となりそうです。一方で、ユーロの為替レートを抑え、輸出競争力の回復につなげるといった効果は想定されます。ユーロ圏ではなお低成長が続いていること、東欧の地政学リスクがまだ色濃いことなどもあり、ECBは引き続き、景気や物価の支援策を模索するものと思われます。

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