良好な米国の社債市場(2017年7月)
相対的に利回りの高い社債への需要は根強い【デイリー】
2017年7月25日
【ポイント1】良好なパフォーマンス
ハイイールド債は株価に匹敵
■このところ米国の投資適格債指数や、ハイイールド債指数のパフォーマンスは極めて良好で、16年年初以降の収益率はそれぞれ10.5%、24.1%となります(7月は24日現在)。
■同期間のS&P500種指数の上昇率は24.9%でした。ハイイールド債のパフォーマンスは、同期間においては、株価に匹敵するものだったといえるでしょう(指数は、いずれもトータル・リターン指数、右図の注3を参照)。

【ポイント2】旺盛な社債への需要
相対的に高い利回りが魅力
■社債スプレッド(国債と社債の利回り格差)は、投資適格債、ハイイールド債とも緩やかな縮小傾向にあります。
■米連邦準備制度理事会(FRB)は、金融緩和の解除を進めていますが、インフレの落ち着き等から、利上げの速度を緩やかなものにとどめています。こうしたなか、相対的に利回りの高い社債への需要が高まっていると考えられます。参考までに直近の利回りは、投資適格債が約3.1%、ハイイールド債が約5.4%、10年国債利回りが約2.3%でした。

【今後の展開】今後も堅調な推移が見込まれる
■FRBは、景気拡大の持続を背景に、利上げの継続に加え、年内にバランスシート(B/S)の縮小を開始する見通しです。ただし、インフレが抑制されていること等から、利上げ、B/Sの縮小とも慎重に進める公算が大きいと見られます。長期金利は、緩やかにレンジを切り上げる展開になると予想されます。
■経済情勢やFRBの政策スタンスを踏まえると、相対的に利回り、安全性の高い投資適格債は、引き続き堅調に推移すると予想されます。一方、ハイイールド債については、エネルギーセクターの比重が大きいため、原油価格の動向に十分な注意を払っておく必要があると考えられます。