米国の債券市場(2014年12月) 世界景気の先行き不透明感などから利回りは低下【デイリー】
2014年12月12日
【ポイント1】米国債利回りは低下
中国、欧州の景気不安、原油安が主因
■11月中旬以降、12月中旬にかけて米国10年国債利回りは低下しました。11月下旬にかけては消費者物価指数や消費者信頼感指数が低調だったことに加えて、中国や欧州の景気の先行き不透明感が強まったことから、米国債利回りは低下しました。12月に入ってからは、ISM景況感指数や雇用統計などが良好な結果となり、一時利回りは上昇しました。しかし、原油価格の下落傾向を受けて株価が下落すると、米国債利回りは再び低下しました。

【ポイント2】社債スプレッドは拡大
日米短期金利差も若干拡大
■米国債利回りの低下に比べ、社債利回りの低下が緩やかだったことから、社債スプレッド(国債との利回り差)は、若干拡大しました。
■短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利(LIBOR)でみると、米国では景気回復を背景に早期利上げ期待が高まり短期金利が上昇した一方、日本では日銀の金融緩和策拡大により金利の低下が進み、日米金利差は拡大しました。

【今後の展開】債券利回りは当面低位安定、徐々に緩やかな上昇へ
■ISM景況感指数が高水準であることや雇用環境の改善が続いていることなどから、米国経済は来年にかけて年率+3%前後の堅調な成長が続くと見込まれます。
■債券市場では、来週のFOMCでFRBが低金利政策の見通しをどのように示すかが焦点となっています。米国経済は来年にかけても堅調に推移すると見られ、今後債券利回りには上昇圧力がかかりそうです。ただし、短期金利は利上げの織り込みに時間を要すると見られ、当面低位で推移すると思われます。
■社債スプレッドは、主要米国企業の底堅い業績や慎重な財務運営、社債への旺盛な需要などから、今後も安定的に推移すると見込まれます。