原油価格の下落とMLP市場の動向 MLPの収益への影響は限定的【デイリー】
2014年12月4日
【ポイント1】MLP市場の下落は限定的
原油価格との中長期的連動性は高くない
■石油輸出国機構(OPEC)は11月27日の定例総会で、生産目標を日量3,000万バレルで据え置くことを決定しました。減産措置の見送りは概ね市場予想通りでしたが、OPECが原油価格のさらなる下落を容認したと市場が受け止めたことなどから、原油価格の軟調さは続き、足元では1バレル67米ドル台と2010年5月以来の安値水準となっています。
■MLP※市場(アレリアンMLPトータルリターン指数)は、OPECの減産見送り決定後、12月3日までで▲5.4%の下落となっています。ただし、原油価格が下落傾向を強めた今年6月ごろからの動きを見ると、MLP市場の下落は限定的です。
※MLPとは、Master Limited Partnershipの略称で、米国で行われる共同事業形態のひとつです。エネルギー・資源関連が多くを占めます。株式と同様、米国の金融取引所などで取引されています。

【ポイント2】原油価格に左右されない収益
利回りの高さもサポート要因
■MLPは、長期契約に基づくエネルギー輸送事業など収益が比較的安定的な事業が多く、短期的な原油価格下落の収益への影響は限定的です。このことはMLP市場の下落が限定的となっている要因のひとつと思われます。
■また、足元のMLP市場の下落により利回りが上昇しており、国債との利回り差が拡大しています。これもMLP市場を支える要因と見られます。

【今後の展開】MLPの収益への影響は限定的、シェールオイル増産の恩恵も不変
■原油価格の下落が行き過ぎると、原油生産者の採算が悪化し生産調整が強まります。米国のシェールオイル(非在来型の原油)生産者の平均的な採算ラインは一部のOPEC加盟国よりも低いと言われており、米国の生産者は原油価格下落の影響を比較的受けにくいと見られます。
■中長期的には、米国のシェールオイルの増産傾向とMLP事業の安定性に変化はなく、シェールオイルの増産につれ収益・配当の安定的な成長が見込まれます。短期的には原油市場の動向などにより不安定な展開も予想されますが、安定的な事業がMLP市場を支えると見込まれます。