米国の債券市場の最近の動向(2014年9月) 主要国間の金融政策の違いから利回り上昇【デイリー】
2014年9月11日
【ポイント1】米国債利回りは、9月に入り上昇に転じる
主要国間の金融政策に違い
■8月中旬以降の米国債利回りの動きを見ると、米国では引き続き企業景況感が良好な一方、消費関連指標や雇用統計では弱いものも見られ、利回りは低下しました。また、ユーロ圏の経済成長率や物価上昇率が低調だったことも、米国債利回りの低下要因となりました。
■一方、ウクライナで停戦合意がなされたことで地政学リスクが後退したことや、追加金融緩和を発表したユーロ圏と米国の金融政策の方向性の違いが意識されたこと、サンフランシスコ連銀のレポートで早期利上げ観測が高まったことなどから、9月以降は米国債利回りは上昇に転じました。

【ポイント2】社債スプレッドは若干拡大
日米短期金利差は緩やかに拡大
■米国債利回りが上昇したのに加え、安定的な金融資本市場の動向や底堅い企業決算を背景に社債の発行が拡大し、社債スプレッド(国債との利回り差)は若干拡大しました。
■短期金利の動きをロンドン銀行間取引金利(LIBOR)でみると、日本では景気回復のもたつきから追加金融緩和観測が高まり金利が低下する一方、米国では当面現在の低金利が続くと見られており、日米金利差は緩やかに拡大しました。

【今後の展開】金利上昇傾向を受けながらも、債券利回りは低位で推移する見込み
■来月にも見込まれるQEの終了後は、物価動向や雇用関連指標が点検され、雇用の「質」の改善が十分となると見られる2015年後半以降に利上げが行われると見込まれます。
■債券市場では、足元でやや金利が上昇傾向にありますが、当面は低金利政策が続くと見られ、国債利回りは当面低位で推移すると思われます。ただし、景気回復が進むにつれて、債券利回りには緩やかな上昇圧力がかかりそうです。
■社債スプレッドは、主要な米国企業の底堅い業績や慎重な財務運営、社債への旺盛な需要などから、今後も安定的に推移すると見込まれます。