為替市場の最近の動向 米利上げ観測とユーロ圏金融緩和でドル高【デイリー】
2014年9月11日
【ポイント1】米早期利上げ観測でドル上昇
ユーロ圏は追加金融緩和を決定
■米国の雇用情勢、個人消費、住宅市場などが着実な回復を続けるなか、8月のジャクソン・ホール会合の前後から、FRBの早期利上げを警戒する向きが増加しました。ドル円の変動幅が、2014年前半に極端に小さかった反動もあり、ドル円はその後、ドル高円安傾向となりました。
■ユーロ圏では、4-6月期の実質GDP成長率が前期比ゼロ成長となるなど、弱い材料が続き、成長・物価見通しが下振れました。9月には、一段の金融緩和策が決定されましたが、今後も追加策が必要との見方が根強く残ります。ユーロは対ドルで急落、対円では一進一退となっています。

【ポイント2】日米の金利差は拡大中
日本の追加緩和観測も根強い
■2012年後半以降、ドル円は日銀の金融緩和強化への期待をきっかけとした「円高是正」がけん引していました。一方、足元のドル円は、ドル高がけん引しています。
■これは、米国の将来の利上げを織り込んで米国の短期~中期の国債利回りが上昇し、日米金利差が拡大基調となっていることなどが背景です。
■日本も消費税増税の判断を年末に控える一方、景気減速により、追加緩和観測が根強くあります。

【今後の展開】当面は金融政策の方向性の違いがドル高観測を後押し
■足元では、2013年5月や6月にFRB議長がQE3終了に言及した後のような、極端な利上げの前倒し観測は浮上していません。金利先物から見れば、利上げ時期は2015年の後半以降と見られています。2015年年初や前半のような早期利上げ観測は、まだリスクシナリオと言えそうです。
■一方、ユーロ圏や日本は景気が減速しており、追加金融緩和が意識されやすい状況です。
■当面は金融政策の方向性の違いが、ドル高観測を後押ししそうです。10月に予定されるQE終了の前後や、年末商戦の時期にかけて、FRB幹部の発言や景気認識などに注目が高まります。
■ドル高の勢いが急なこともあり、次第に今年の夏場までのような一進一退となることも想定されます。しかし、その際もドルの下値は限定的となり、次の上昇をうかがう展開が想定されます。