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米国の雇用統計(米国)【キーワード】

2014年9月3日

<今日のキーワード>
米国の雇用統計は毎月第一金曜日に前月分が発表され、失業率や非農業部門雇用者数が注目されます。非農業部門雇用者数は、天候などにより振れの大きい農業従事者や軍人などを含まず、雇用への景気変動の影響をより表すと考えられます。FRB(連邦準備制度理事会)は雇用の最大化と物価の安定を2大使命としており、雇用統計は最も注目される経済指標の一つです。

【ポイント1】非農業部門雇用者数は6カ月連続で20万人超の増加

年末年始の寒波の影響から脱し、失業率も低下
■米国では年末年始に大規模な寒波に襲われ、景気が停滞したことなどから、雇用も悪化しました。しかし、その後は景気回復とともに持ち直し、失業率は3月の6.7%から7月は6.2%まで改善しました。また非農業部門雇用者数は、2月以降6カ月連続で前月比20万人超の増加となっています。この指標は、労働力人口約1億6,000万人のうち、月間に雇用が何人増加したかを見るもので、ほかの条件に変化がなければ、失業率を0.1ポイント低下させるには約16万人の増加が必要と考えられます。

【ポイント2】注目は、労働市場の「質」へ

FRBが指摘する「労働市場のスラック(たるみ)」
■FRBは「労働市場のスラック(たるみ)」を指摘しています。具体的には、「経済的理由によるパートタイム就業者数」、「自発的離職者比率」、「賃金の上昇率」、「長期失業者数」、「労働参加率」などの指標を指し、『イエレンFRB議長のダッシュボード(自動車の運転席にあるメーター類)』とも言われています。今後は、失業率の低下や雇用者数の増加に加えて、こうした労働市場の「質」の面の改善が必要とされています。

■これらの指標はリーマン・ショック以降改善しているものの、そのスピードは緩慢な状況です。なかでも「賃金の上昇率」は、前年比+2.0%程度の低い伸びにとどまっています。賃金の上昇が緩慢なままでは、物価の上昇も抑えられると考えられます。

【今後の展開】労働市場の改善は、利上げ時期の具体的な示唆へとつながるか?

■労働市場の「質」の改善も徐々に進む見込み
失業率を安定的に低下させるには月15万人~20万人の非農業部門雇用者数の増加が必要と見られています。景気拡大が期待されるなか、足元の雇用者数の増勢は続くと見込まれ、失業率の低下基調が続くと期待されます。こうしたことから、労働市場の「質」の改善も徐々に進むと考えられます。

■次回FOMCで利上げ時期の示唆は得られるか?
8月22日のジャクソンホールでの講演でイエレンFRB議長は、「労働市場のスラック」を改めて指摘するとともに、労働市場は回復してきているとの見方を示しました。今月16日からのFOMCでQE終了後の利上げの時期について、これまでよりも判断が前倒されるような表現につながるのか、今週金曜に発表される最新の雇用統計に注目です。

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