最近の指標から見るブラジル経済(2014年10月) 消費による景気の下支えに期待【デイリー】
2014年10月16日
【ポイント1】賃金上昇が消費を支える
ワールドカップ終了後に持ち直し
■8月の小売売上高は前年同月比▲1.1%と、2カ月連続のマイナスになりました。ただし、前月比は+1.1%と、6月、7月のマイナスからプラスに転じました。消費はサッカー・ワールドカップの開催中に落ち込みましたが、終了後に持ち直しました。賃金の上昇などを背景に、消費が景気全体を下支えすると期待されます。
■8月の鉱工業生産指数は前年同月比▲5.4%と、3月以降6カ月連続のマイナスになりました。ブラジル中央銀行(以下、中銀)の利上げ(昨年4月以降合計3.75%、現在の政策金利は11.00%)などが内需を抑えていると見られます。

【ポイント2】物価上昇率は高止まりが続く見込み
政策金利は当面据え置きに
■9月の消費者物価指数は前年同月比+6.75%と前月の同+6.51%から上昇し、中銀の目標レンジ(年+2.5%~+6.5%)上限を上回る推移が続きました。中銀は、賃金や公共料金の上昇を足元の主な物価押し上げ要因と見ています。
■景気低迷の一方、足元のブラジルレアルの下落による物価押し上げも懸念され、中銀は現在11%の政策金利を当面据え置くと思われます。

【今後の展開】政権交代による経済政策の刷新、成長ペース加速への期待が高まる
■現在大統領選挙が実施されており、10月26日にルセフ現大統領とブラジル社会民主党のネーベス氏の決選投票が行われます。
■再選を目指すルセフ氏は、景気低迷などが逆風ながら、最低賃金引き上げ政策などから根強い支持層を持ち、第1回投票をトップで通過しました。
■一方のネーベス氏は、経済政策として中銀の物価目標の重視、税制の透明性や公平性の向上、投資増に配慮しながらの財政赤字削減などを掲げ、現政権への批判票を集める見込みです。
■直近の世論調査では、ネーベス氏がややリードしています。足元では、政権交代で経済政策が刷新され、投資の拡大などにより経済成長ペースが加速するとの期待が高まっています。