日銀政策と株式市場の動向 景気判断を上方修正、金融政策は現状維持【デイリー】
2015年5月22日
【ポイント1】「量的・質的金融緩和」を維持
景気判断を小幅に上方修正
■日銀は、21日~22日の金融政策決定会合で、現行の「量的・質的金融緩和」の維持を決定しました。
■景気判断は、従来の「緩やかな回復基調を続けている」を、「緩やかな回復を続けている」と変更し、小幅に上方修正しました。個人消費が雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移していることや、住宅投資に持ち直しの動きが見られることが背景です。
■物価見通しは、従来の「予想物価上昇率は、やや長い目で見れば、全体として上昇している」との見方が維持されました。3月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率は、前月までの低下傾向が反転し上向きました。足元の状況を、東大日次物価指数(30日移動平均)で見ると、4月末頃から前年比プラスに転じており、上向きの傾向が持続しています。

【ポイント2】株価は景気判断を好感
為替はやや円高に振れる
■22日の日経平均株価は、午前は前日比マイナス圏での動きでしたが、日銀の発表後上昇に転じ、終値は前日比+61.54円の20,264.41円と6日続伸となりました。景気判断の上方修正が好感されたようです。
■米ドル円レートは、発表後円高方向の動きとなりました。株価と同様、景気判断の上方修正を素直に織り込む形となりました。日本時間の15時時点では120.80円でした。

【今後の展開】金融政策は当面現状維持、株価は企業収益拡大に沿った展開へ
■会見で黒田総裁は、今回の景気判断の変更について、「経済が着実に改善していることを示した」と述べ、前向きな判断だったことを明確にしました。また、追加金融緩和の必要性は「現時点では無い」とし、今後の会合ごとに物価の状況などを点検していくこれまでの方針を繰り返しました。
■好調な企業収益を背景に、株価は2000年来の高値更新が続いています。中国の景気減速懸念やギリシャ情勢の不安などの不透明要因もあり上値を押さえられる場面も想定されますが、基調としては、企業収益の拡大に沿った展開が期待されます。