底堅い金価格の動向 米国の金融政策と欧州の銀行問題が当面の焦点 【デイリー】
2016年9月28日
【ポイント1】ドル安の進行が下支え

6月下旬以降は持合い状態
■金価格は2013年以降の下落局面から今年に入り反発に転じています。9月27日の金価格は、年初来で約26%の上昇となっています。米国の利上げ期待の後退を受けて、ドル安が進行したことや、英国のEU(欧州連合)からの離脱選択により金融市場が不安定となる局面があったことなどから、金の安全資産としての見直し機運が高まったためと思われます。
■ただし、6月下旬の英国のEU離脱選択を受けた上昇の後は、金価格は持合い状態になっています。米国の金融政策を巡って、市場の見方が利上げと据え置きで定まらないことが背景と思われます。
【ポイント2】円ベースの金価格は横ばい

ドルベースの上昇を円高が相殺
■円ベースの金価格は、概ねボックス圏での推移となっており、年初からの上昇率は約5%にとどまっています。ドルベースでの金価格の上昇を、円高の進行が相殺していることが要因です。これは、外国為替市場で、円が金と同様に安全資産として選好されているためです。
【今後の展開】米国の金融政策と欧州の銀行問題が当面の金価格のカギ
■金価格には、米ドルとの逆相関関係が高いという特性があります。すなわち、ドルが強ければ金は弱く、ドルが弱ければ金が強い、という関係です。世界的な低金利の環境下、ETFによる金への投資需要が増加していることや、金の新規鉱山開発計画が乏しく、金の生産が増えないという需給環境も金価格好調の背景としてあげられます。
■今後の金価格は、米ドルの動き、すなわち米国の金融政策の影響を受けると思われます。米国の利上げ速度は緩やかなものとなる見通しのため、金価格の大きな下押し要因にはならないと見られます。一方最近注目されるのは、ドイツの大手銀行の財務健全性の問題です。これが金融市場の不安定要素となれば、金価格には押し上げ要因となります。