底堅く推移してきた金価格の動向
米国の金融政策が当面の焦点 【デイリー】
2016年8月26日
【ポイント1】Brexit選択後も底堅い

ドル安の進行が下支え
■金価格は2013年以降の下落局面から今年に入り反発に転じています。8月25日の金価格は、年初来で約25%の上昇となっています。
■米国の利上げ期待の後退を受けて、ドル安が進行したことと、英国のEU(欧州連合)からの離脱選択により金融市場が不安定となる局面があったことなどから、金の安全資産としての見直し機運が高まったためと思われます。世界的な低金利の環境下、ETFによる金への投資需要が増加していることや、金の新規鉱山開発計画が乏しく、価格上昇にもかかわらず、生産が増えないという需給面も背景としてあげられます。
【ポイント2】円ベースの金価格は横ばい

ドルベースの上昇を円高が相殺
■ただし、円ベースの金価格は、概ねボックス圏での推移となっており、年初からの上昇率は約4%にとどまっています。ドルベースでの金価格の上昇を、円高の進行が相殺しているためです。これは、外国為替市場で、円が金と同様に安全資産として選好されているためです。
【今後の展開】米国の金融政策が当面の金価格のカギ
■金価格には、米ドルとの逆相関関係が高いという特性があります。すなわち、ドルが強ければ金は弱く、ドルが弱ければ金が強い、という関係です。今後の金価格は、米国の長期金利や米ドルの動き、したがって米国の金融政策や地政学的リスクなどの影響を受けると思われます。
■このため25-27日に開催されている米国のカンザスシティ地区連銀主催の経済シンポジウムでのイエレンFRB議長の講演(26日に予定)が注目されます。仮に講演内容が、米国の利上げ観測の早期化ならばドルは買われ、金価格は下落へ、逆に米国の利上げ観測が後退するようなら、ドルは売られ、金価格は上昇する可能性が高いと見られます。