ホームマーケット日々のマーケットレポートロシアが利下げ、ルーブル安が加速【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

ロシアが利下げ、ルーブル安が加速【デイリー】

2015年2月2日

【ポイント1】12月の大幅利上げから一転

景気後退を和らげるねらい
■ロシア銀行(中央銀行、以下中銀)は1月30日の政策決定会合で、現行17.0%の政策金利を2.0%引き下げ15.0%とすることを決定しました。ウクライナ問題を巡る欧米諸国の経済制裁や原油安のエネルギー産業への影響などから景気後退が深まる懸念が強く、利下げはこれを和らげるねらいがあると見られます。

■中銀は、ルーブルの急落とそれによるインフレリスクへの対応として、12月中に2度にわたり政策金利を合計7.5%引き上げていました。通貨防衛とインフレ対策が思惑通り進まないなか、予想外の利下げに転じたのは、景気後退の深刻化を防ぐことを重視したためと見られます。

【ポイント2】2015年はマイナス成長へ

債券格下げも
■国際通貨基金(IMF)は、1月の見通し改定で、ロシアの2015年の経済成長率予想を従来の見通しから3.5%引き下げ▲3.0%としました。

■ロシアにとって原油と天然ガスの輸出は経済のけん引役です。輸出の減少は景気を直撃するうえ、政府歳入の減少にもつながります。原油の先安観が払しょくされない状況では、経常収支と財政収支が悪化する見通しも強まります。

■1月26日、大手格付け会社S&Pはロシア国債(外貨建て長期債)の格付けをBBB-からBB+に引き下げ、投資適格級未満としました。

【今後の展開】欧米との関係修復には時間を要する見込み、原油が市場安定のカギ

■ロシア経済停滞の一因として、欧米諸国による経済制裁もあります。欧米諸国との関係修復には時間を要するとみられることから、経済の状況改善は早期には見込めない情勢です。

■利下げに転じたものの政策金利はなお高水準であり、原油安による関連分野での投資の減少、企業の外貨建て債務返済負担の増大などから、景気後退がさらに深刻化する可能性が高まっています。株式、為替市場は、引き続き、原油価格の動向に神経質な展開が想定されます。

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