IMFの世界経済見通し改定(2015年1月) 世界経済見通しを下方修正、2015年は3.5%に【デイリー】
2015年1月21日
【ポイント1】原油安の恩恵を投資の弱さがオフセット
中期的な成長期待が下振れ
■国際通貨基金(IMF)は米国東部時間の19日夜、昨年10月に公表した世界経済見通しの改定を発表しました。2015年と2016年の成長見通しをともに0.3ポイント引き下げ、それぞれ3.5%、3.7%としました。
■IMFは下方修正の主な理由に、「中長期的な成長期待が低下することで投資が弱い」ことを挙げました。投資の弱さなどのマイナスが、原油安の恩恵を上回るとしています。

【ポイント2】米国のみ上方修正
2015年の新興国・地域は0.6ポイント下方修正
■国・地域別に見ると、2015年、2016年ともに上方修正されたのは主要国では米国のみとなりました。米国は、原油安、緊縮財政の緩和、緩和的な金融政策などにより内需が支えられ、成長率は3%を超えるとされました。
■米国がけん引し、先進国・地域全体でも2015年の成長率が0.1ポイント上方修正され、2.4%となりました。また、2015年の成長率が新興国・地域全体では、中国、ロシア、原油輸出国の下方修正から、0.6ポイント下方修正されました。
【今後の展開】金融・財政政策などにより、潜在成長率の引き上げが喫緊の課題
■IMFは今回、原油価格の見通しが不確かであることをリスク要因の最初に指摘し、成長率の上振れも下振れも有り得るとしています。その他、世界経済の下振れリスクとして、主要国・地域の経済の下振れや米国の金利正常化プロセス、新興国・地域のマネーフローの反転で金融市場の変動の高まること、原油輸出国・地域の対外収支の悪化、地政学リスクなどを挙げています。
■IMFは、潜在成長率の引き上げが喫緊の課題としています。構造改革が多くの国や地域にとって必要で、インフラ投資に加えて、金融・財政政策の必要性に言及しています。原油価格の下落は物価見通しの下落や補助金の削減を通じて財政負担を軽減させ、金融・財政政策をより講じやすくなっていると見られることから、各国・地域の積極的かつタイムリーな政策対応が期待されます。