ギリシャ向け金融支援が失効【デイリー】
2015年7月1日
【ポイント1】金融支援が失効
IMFへの返済は延滞
■ギリシャ向け第2次金融支援は7月1日午前0時(日本時間の同日午前7時)をもって期限切れとなり、失効しました。また同日同時刻が支払期限だった国際通貨基金(IMF)への約15億ユーロの返済も延滞となりました。
■ギリシャ政府は期限切れ直前になって、債務再編を含む2年間の金融支援を求める新提案を提出しましたが、ユーロ圏財務相緊急会合で、この提案は退けられました。

【ポイント2】国民投票の結果に注目
支援の方向性を左右
■ギリシャは7月5日に国民投票を実施し、欧州連合(EU)側の財政改革案の受け入れについて是非を問います。その結果次第で、今後のギリシャ支援の方向性は大きく変わる可能性があります。
■受け入れ賛成という結果になれば、EUなど債権団との支援交渉再開への道が開かれます。ただ反対の立場を続けるチプラス首相が政権を維持できるかどうか不透明感が強まります。
■一方、反対という結果になれば、チプラス首相は民意を盾に緊縮見直しを迫るとみられますが、債権団側はそれに応じず、金融支援を完全に打ち切ることも考えられます。

【今後の展開】国民投票で財政改革案受け入れならEUは新たな支援策も
■また欧州中央銀行(ECB)の行動にも注目が集まります。ECBは現在、ギリシャの中央銀行がギリシャの民間銀行に資金を供給する「緊急流動性支援(ELA)」を承認しています。今回、ギリシャがIMFへの返済を延滞したことを受け、ECBはELAの承認を継続するのか難しい決断を迫られることになります。
■報道によれば、EUは国民投票でギリシャが財政改革案を受け入れた場合を想定し、新しい金融支援を準備している模様です。ただ依然として先行きは見通しにくく、予断は許さない状況にあると思われます。そのため金融市場は当面、ギリシャ関連の報道に一喜一憂する展開が予想されます。