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【デイリー No.1,818】ユーロ圏の金融政策(3月) ~金融政策は据え置き、経済見通しをわずかに上方修正~

2014年3月7日

<ポイント>
●欧州中央銀行(ECB)は政策金利を過去最低の0.25%に据え置くなど、緩和的な金融政策を維持しました。
●3四半期連続プラス成長となったほか景況感の改善などを受け、経済見通しはわずかに上方修正されました。
●ECBは景気の下振れに注意を払いながら追加緩和策を温存し、緩和的な金融政策を維持する見込みです。

1.一部利下げ観測あるも、金融政策は据え置き

 ECBは6日、政策金利(主要リファイナンスオペ適用金利)を過去最低の0.25%に据え置くことを決定しました。昨年11月会合での0.25%の利下げ以降、4会合連続の据え置きです。また、限界貸出金利(上限金利)、預金ファシリティ金利(下限金利)もそれぞれ0.75%、0.0%で据え置きました。
 事前の市場予想(ブールムバーグ集計)ではエコノミスト54名中40名が据え置き、14名が利下げ(0.10~0.15%)を見込むなど、一部では利下げも予想されていました。

2.経済見通しは上方修正、物価見通しは下方修正

 今回の会合では、四半期に一度のECBスタッフによる経済見通しも公表されました。これによると、ユーロ圏のGDP成長率は、2014年は前年比+1.2%、2015年は同+1.5%、2016年は同+1.8%と予想され、2014年は前回(2013年12月)からわずかに上方修正されました。2013年10-12月期のGDP成長率は前期比+0.3%と、3四半期連続のプラス成長となった他、スペインやイタリアにおいて景況感の改善が見られユーロ圏経済をけん引するドイツとの間のギャップも縮小していることなども踏まえ、ECBは景気の先行きに自信を示した格好です。
 また、消費者物価(HICP)見通しは、2014年は前年比+1.0%、2015年は同+1.3%、2016年は同+1.5%と示され、前回から若干下方修正されました。ただし2016年10-12月期には同+1.7%となると予想されており、中期的にはECBの目標とする2%以下かつ2%近くの水準まで徐々に上昇するとのこれまでの見方に沿った予想が示されました。

3.今後の市場見通し

 経済見通しのリスクについては、引き続きダウンサイド(下振れ)にあるとECBは見ています。世界的な金融市場および新興国市場、地政学的リスク、域内需要や輸出の鈍化、ユーロ圏諸国の構造改革の遅れなどがリスク要因として挙げられています。ドラギ総裁の質疑応答では、ウクライナ情勢への質問も相次ぎました。これについて同総裁は、ウクライナ情勢に伴う影響については協議していないとし、ロシア経済やウクライナ経済への大きな影響が出ているものの、短期、中期など期間によって欧州経済に与える影響は異なり、状況判断は難しいと答えるにとどまりました。
 今回の会合では、必要な限り長期にわたり緩和的な金融政策を維持するというフォワードガイダンス(将来の金融政策見通し)も据え置きました。一方、当面の景気見通しなどについては、前回会合後に発表された経済指標の結果なども受けて、若干ながら強気な姿勢に変化した様子が伺えます。ECBは引き続き景気の下振れに注意を払いながら追加緩和策を温存し緩和的な金融政策を維持し、景気を支える姿勢です。

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