ホームマーケット日々のマーケットレポート最近の指標から見る中国経済(2014年11月)  経済構造の転換を急ぐ中国【デイリー】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

最近の指標から見る中国経済(2014年11月)  経済構造の転換を急ぐ中国【デイリー】

2014年11月14日

【ポイント1】2014年の目標は概ね達成へ

投資や小売などの内需は勢いを欠く
■2014年も終盤に近づき、年初に立てた経済目標の達成状況が注目されます。経済成長率や都市部新規就業者数などの重要目標は達成が見込まれ、この点からは政府が大型の経済対策を急ぐ必要性は薄らいでいると見られます。

■しかし、投資や小売などは想定を下回っています。10月の鉱工業生産も前年同月比+7.7%と減速し、内需に勢いがありません。過剰な生産能力の削減や不動産市場でのバブルの予防など、抑制的な政策の影響です。減速が行き過ぎて景気対策への期待が過度に高まらないよう、微妙な手綱さばきが求められています。

【ポイント2】不動産市場に反発の兆し

一部不動産関連指標が底打ち
■抑制策により減速感が強まっている不動産市場では、いくつかの指標が反発しました。1-10月の商品建物販売額は前年同期比▲7.9%の減少と1-9月の同▲8.9%から減少幅が縮小しました。1-10月の不動産開発企業の土地購入面積も前年比+1.2%増となり、1-9月期の▲4.6%減からプラスに転じました。今のところ、変化の兆しが見え始めた指標は一部にとどまっており、今後はこうした動きの広がりが注目されます。

【今後の展開】来年の成長率目標を引き下げ、海外連携推進をテコに高成長維持へ

■12月に予定される経済工作会議では、2015年の経済運営方針が討議され、「7.5%前後」とされた今年の成長率の引き下げが議論される見込みです。来年は2011年にスタートした第12次五カ年計画の最終年にあたり、「経済成長パターンの転換」を加速させるために、高めの成長率の設定を避け、非効率とされる経済構造の転換を急ぐ可能性があります。

■10月に開催されたAPEC首脳会議では、中韓の自由貿易協定(FTP)の実質合意、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立や400億ドル規模の「シルクロード基金」の創立、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の推進など、経済連携を積極化する中国の対外戦略が注目を集めました。内需の成長性が低下するなか、海外連携推進をテコに高成長を維持する方針とみられます。

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