トルコの金融政策(2017年4月)
事実上の貸出金利を連続引き上げ【デイリー】
2017年4月27日
【ポイント1】貸出金利を連続引き上げ
主要な政策金利は据え置き
■トルコ中央銀行(以下、中銀)は26日に開催した金融政策決定会合で、事実上の貸出上限金利として使用する「後期流動性貸出金利」を0.50%引き上げ、12.25%とすることを決定しました。市場予想(ブルームバーグ)ではすべての政策金利の据え置きが見込まれていました。
■主要な政策金利の翌日物貸出金利、1週間物レポ金利、翌日物借入金利はそれぞれ9.25%、8.00%、7.25%で据え置きました。

【ポイント2】インフレ抑制が目的
トルコリラ上昇の狙いも
■中銀は声明文で、食品価格の大幅な変動などが物価上昇につながったと指摘し、インフレ見通しの悪化を防ぐために金融引き締めを強化したと説明しています。また、インフレ見通しが大幅に改善しない限り、引き締め的な金融政策を維持するとしました。
■今回は為替市場でトルコリラが安定していたことから、市場では金融政策据え置きが予想されていました。このタイミングで引き締めを強化したのは通貨を上昇させる狙いがあった可能性も考えられます。

【今後の展開】トルコリラは国民投票後、反発
■エルドアン大統領の権限強化につながる憲法改正案の是非を問う国民投票が4月16日に行われ、暫定結果は賛成51%、反対49%となりました。金融市場では賛成派の勝利による政情安定化を期待し、株価や通貨トルコリラが国民投票後に上昇しています。
■一方で、地政学リスクに加え、テロが続く可能性もあります。権限が強化されるエルドアン大統領が状況を落ち着かせることが今後のトルコへの資金流入の鍵となります。