アジア・オセアニアのリート市場の最近の動向(2016年8月)
調整を経て底堅い推移へ 【デイリー】
2016年9月13日
【ポイント1】グローバル市場は反落

米国の利上げ観測が背景
■8月のグローバル・リート市場は、現地通貨ベースで2.5%の下落となりました。FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長のジャクソンホールでの講演などが、米国の利上げを示唆するものだったことから長期金利が上昇する中、軟調に推移しました。
■為替は日銀の追加緩和策への失望や、イギリスやオーストラリアが金融緩和を行ったこともあり、中旬までは円高基調で推移しましたが、月末にかけて米国の利上げ観測を織り込む形で円安が進行し、主要国通貨に対し月間では若干の円安となりました。
【ポイント2】豪州、香港が反落

シンガポールは上昇
■アジア・オセアニア地域を現地通貨ベースで見ると、月間でオセアニアが2.8%、アジアが2.4%の下落となりました。
■オセアニアは、豪州でRBA(オーストラリア準備銀行)が8月2日に利下げを決定しましたが、当面の材料が出尽くしとの見方から反落しました。アジアは、香港が下落、シンガポールが上昇とまちまちでした。香港市場は米国の利上げ懸念が重石となりました。シンガポールはリートの相対的な業績の安定性と高い利回りが下支え要因となりました。
【今後の展開】アジア・オセアニアの相対的に高い配当利回りが相場の支えに
■アジア・オセアニアのリート市場は、短期的には米欧中の景気動向、金融政策など外部環境の影響を受けると見られます。中でも、米国の金利動向には注意が必要です。ただし、過去の米国の利上げ局面では、アジアのリート市場は堅調に推移しました。
■今回の米国の利上げは緩やかなペースで行われると見られます。加えてアジア・オセアニアのリートは、高い経済成長を背景に、業績拡大と増配が期待されるうえ、相対的に配当利回りが高いことがサポート要因となり、堅調に推移すると期待されます。