【デイリー No.1,862】インドネシアの金融政策(5月) ~6会合連続で政策金利を据え置き~
2014年5月9日
<ポイント>
・インドネシア中央銀行(以下、中銀)は市場予想通りに、政策金利を7.5%で据え置きました。
・インフレ率が低下したことや、貿易収支が黒字となり経常収支の赤字が安定化していることが主な要因です。
・中銀はインフレ率と経常収支の動向を注視しつつ、当面は現行の政策金利水準を維持すると思われます。
1.政策金利を7.5%に据え置き
中銀は8日、政策金利を7.5%に据え置くことを決定しました。昨年11月に政策金利を引き上げて以降、6会合連続で据え置きました。声明文では、引き続き物価の安定化と経常収支の赤字の縮小を目指す方針が示されました。
2.インフレ率は低下、貿易収支は黒字を維持
4月の消費者物価指数は前年同月比+7.25%となり、中銀の目標レンジ(2014年、+3.5%~+5.5%)の上限を依然として上回っています。ただし、年初より低下基調にあり、中銀は目標に向かい低下していると見ています。また、先行きの物価のリスクとして、燃料などの行政管理価格の引き上げや天候要因による食品価格の上昇を注視しています。
3月の貿易収支は6億7,300万米ドルの黒字となり、2月の8億4,300万ドル(改定値)の黒字から縮小しましたが、内需減速による輸入の減少により黒字を維持している状況です。中銀は、経常収支の赤字額は季節要因により4-6月期、7-9月期に拡大するものの、GDP比では2014年通年で3%以下に収まると予測しています。
3.今後の市場見通し
今回の政策金利の据え置きは、市場予想通りであり、市場に与えた影響は限定的でした。経常収支の赤字が安定化していることや、中銀の目標レンジを上回りながらもインフレ率が低下基調にあることから、中銀は引き続き現行の政策金利を維持すると思われます。
インドネシアの株式市場は、インフレや経常収支の改善、底堅い景気を背景に上昇傾向にあります。世界経済の緩やかな回復や同国の経済と企業収益の成長期待を背景に今後も底堅く推移すると思われます。今年7月に実施予定の大統領選挙については、経済政策に定評のある候補者の当選が確実視されており、この状況が維持される限り市場への影響は限定的と見られます。