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日本株式市場は年末に向け堅調さを取り戻そう
10-12月に海外投資家が日本株を買い越す傾向あり

2021年9月3日

【ポイント1】2万8,000円台を回復

8月20日で底値を形成か

■日経平均株価は、本年2月16日の3万467.75円の年初来高値から上値の重い展開が続き、8月20日に一時2万7,000円を割り込みました。8月末に再び2万8,000円台を回復しており、今回の下落で本年の底値が形成された可能性があります。


■7月以降、ワクチン接種が進んでいるにも関わらず、むしろ新規感染者の大幅な増加や医療逼迫が取り沙汰される中で、市場のセンチメントが好転しない状況でした。こうした流れに変化が生じた背景には、2万7,000円割れによって利益との関係からみて割安感が強まったことがあげられます。そして、27日のジャクソンホール会議でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内の量的緩和縮小(テーパリング)開始を示唆したものの、テーパリングが直接利上げにつながらない、としたこともあげられます。市場はハト派的なスタンスを好感し、米国株式市場はS&P500種指数やNASDAQ総合指数が高値を更新し、アジア株式市場が堅調となったことから、日本株式市場にも安心感が広がり、大きく反発しました。

【ポイント2】上昇トレンドに戻るための条件

ワクチン接種率(2回)の70%超えは9月下旬にも達成か

■日経平均株価は本年の底値を形成した可能性がありますが、年末に向けて反発が継続するためには、どのような条件が必要でしょうか。それは、米国の金融政策、変異ウイルス対応(ワクチン接種進捗)、政策対応、業績、そして、海外投資家による日本株の買い越し、だと思われます。


■最初の米国の金融政策については、9月21~22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されます。政策金利の見通しなどが発表され、今後の金融政策の方向がどの程度示せるかが重要です。弊社では11月のFOMCでテーパリングの実施が決定し、12月から開始されると予想していますが、縮小のピッチや終了時期は明らかにはなっていません。年末から来年にかけての金融政策の方向感が示されれば、市場の安心感につながりそうです。


■次に、変異ウイルスへの対応が注目されます。日本では緊急事態宣言が9月12日の期限からさらに延長される可能性が高まっています。こうした中、1回目のワクチン接種が着実に進んでいます。8月31日現在のワクチン接種率(16歳以上人口比)は1回接種ベースで66.3%、2回接種ベースで53.6%となりました。集団免疫が確保されると言われる70%(2回接種ベース)は9月の下旬にも達成される可能性があります。経済再開へ大きく一歩踏み出す目途となりそうです。


■9月下旬から10月にかけては自民党総裁選挙や衆議院選挙が実施されます。経済対策が報道されていますが、実際に検討が進めば株式市場で材料視されそうです。

【今後の展開】10-12月の海外投資家に期待~年末に向け堅調に推移しよう

■そして最後は、業績と海外投資家の動向です。10月後半から始まる中間決算では、上振れや通期計画の上方修正が期待できます。また、10-12月に海外投資家が買い越しとなることが多い点も注目されます。


■2015年~2020年の10-12月を見ると、米中貿易摩擦の激化で売り越しとなった2018年以外は、買い越しとなっています。買い越した10-12月を見ると、米国株式市場は堅調に推移しており、海外投資家はリスクを取りやすい環境にあったと考えられます。海外投資家が買い越した局面では、(1)株価上昇率は日経平均株価がNYダウを上回る、(2)日本のEPSの伸び率が米国を上回る、(3)総じて円安、という傾向が読み取れました。一方、売り越しとなった2018年10-12月は、NYダウは下落していました。


■本年も、米国株式市場は年末に向け、堅調に推移する見通しで、海外投資家は日本に投資するゆとりができる環境になると想定されます。ちなみに、過去6年の日経平均株価の10-12月平均上昇率は7.9%でした。9月末の株価次第ですが、年末に日経平均株価は3万~3万2,000円台となる可能性もあり、堅調に推移すると考えられます。

 

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