ホームマーケット日々のマーケットレポートアジア・オセアニアのリート市場は新型コロナウイルスの影響で下落 先行き懸念強まるなか、ディフェンシブ性が魅力

アジア・オセアニアのリート市場は新型コロナウイルスの影響で下落
先行き懸念強まるなか、ディフェンシブ性が魅力

2020年3月12日

【ポイント1】アジア・オセアニアリートは下落

感染拡大で金融市場は混乱

■足元のアジア・オセアニアのリート市場は大幅に下落しました。3月10日現在のアジア・オセアニアのリート市場は、現地通貨ベースでアジア・パシフィック(除く日本)が1月末比▲6.5%、香港は同▲4.5%、シンガポールは同▲2.4%、オーストラリアは同▲9.9%となりました。   

■2月下旬以降、新型コロナウイルスの米欧での感染拡大と共に世界の金融市場が動揺し始めたことに加え、石油輸出国機構(OPEC)とロシアが減産協議に失敗したことを受け原油価格が急落し、金融市場の混乱に拍車がかかりました。金融市場では、安全資産と言われる国債の価格が上昇(利回りが低下)する一方、主要株価指数はこの1カ月で軒並み10%を超えて下落しました。アジア・オセアニアのリート市場も下落していますが、下落度合いは比較的緩やかです。

【ポイント2】感染拡大の影響で世界経済のダウンサイドリスクが増加

■世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルスについてパンデミック(感染症の世界的な大流行)を宣言しました。弊社では、感染拡大が世界経済に与える影響について、移動制限による中国の生産落ち込みや消費減少、中国以外の世界消費減少の影響を考慮し、2020年の世界の実質GDP成長率へのインパクトを試算しました。中国の生産・消費が4月ごろから正常化する一方、日米欧の消費の抑制が2月下旬から4月まで続くとの想定では、景気への下押し圧力は▲0.3~▲0.4%になると考えます。中国の生産停滞が年央まで続いた上、日米欧の感染収束も遅れる場合の影響は▲0.7~▲0.8%になると考えています。

【今後の展開】経済への先行き懸念が強まるなか、ディフェンシブ性が魅力

リスク資産は当面調整も本格化する政策対応に期待

■足元の金融市場では、新型コロナウイルスの感染拡大を巡る景気減速への懸念が強まっており、各国は金融・財政政策を積極化して行くとみられます。こうした環境のもとでは、リート価格の変動性は高まる可能性はありますが、金融緩和に伴う低金利環境の長期化が予想されることは支援材料です。

■世界的に金融緩和が進み、リスク資産の価格変動性が高まっている環境下、アジア・オセアニアリートは相対的な利回りの高さ、業績の安定性などのディフェンシブ性から、他のリスク資産に対して優位にあるとみられます。

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