リーマン・ショック(米国)【キーワード】
2014年9月24日
<今日のキーワード>
リーマン・ショックとは、2008年9月、米国の大手証券会社リーマン・ブラザーズが突然破産申請したことをきっかけに、世界中に広がった世界的な金融危機を指します。世界の金融システムに大きな悪影響を与え、世界を巻き込む大不況へと発展しました。
【ポイント1】低金利政策が生み出した住宅ブーム
サブプライム・ローンの拡大と証券化
■2000年から2006年にかけ、米国では長期の金融緩和と低所得者向けの住宅ローン(サブプライム・ローン)の盛行を背景に住宅ブームが加速しました。サブプライム・ローンは、住宅価格の値上がりを前提にした、支払能力の低い個人向けの住宅ローンで、大きく拡大しました。このローンを担保とした「住宅ローン担保証券」や一般の貸付債権などと組み合わせた「債務担保証券」が世界中の投資マネーを集めました。2006年後半から米国の住宅価格が下落を始めると、ローンの返済率が悪化し、そうした証券化商品の価格が大幅に下落することになりました。
【ポイント2】世界的な金融危機へ発展
証券化商品の巨額損失発生と危機の伝播
■証券化商品の価格下落は、証券会社等の金融機関に巨額の損失を発生させ、2008年9月に当時米国4位の証券会社リーマン・ブラザースが破綻申請しました。負債総額は史上最大の6,000億ドルでした。大手金融機関が突然破綻したことで、金融機関は相互不信に陥り、資金の流通が滞りました。金融市場の機能が停止したことで世界中の金融機関が資金不足に陥り、次々と経営危機に直面することになりました。こうした危機は、米国から欧州、アジアや新興国にも伝播し、世界的な金融危機へと発展しました。

【今後の展開】金融政策は正常化へ、規制強化でより安定的な金融システムへ
■大規模な金融緩和を実施
世界的な金融危機の伝播で2009年の世界経済は大幅なマイナス成長となり、「100年に1度の経済危機」とも言われました。各国当局は、金融機関への公的資金投入や大規模な金融緩和などにより、金融危機と不況から脱する取り組みを連携して行ってきました。その成果もあり、足元では経済指標や株価などが「リーマン・ショック前」に回復する状況も見られます。
■世界的に金融機関への資本規制が強化
金融不安の解消と景気回復が進み、金融機関による公的資金の返済、量的緩和(QE)終了など、正常化への進展が見られます。また、金融機関の資本強化への取り組みも世界的に進められています。危機を教訓に、世界的に安定した金融システムの構築が進められており、世界経済はより安定的な成長路線への復帰が見えてきたところです。