VIX指数(米国)【キーワード】
2014年9月12日
<今日のキーワード>
VIX(ヴィックス)指数はボラティリティ・インデックスの略称で、株価の変動性(一定期間で測られる株価変動率の年率換算値)の予想を示す指数です。シカゴ・オプション取引所(CBOE)が1993年に開発しました。当初はS&P100指数のオプション価格を基に算出されていましたが、2003年に改良され、現在はS&P500指数のオプション価格を基に算出され、1990年まで遡及計算されています。
【ポイント1】「恐怖指数」として市場に定着
株価変動の特徴からつけられた「異名」
■VIX指数は「恐怖指数」とも言われています。VIX指数は株価が大きく下落する不安定な市場環境の時ほど水準が高くなります。これは、将来も株価が大幅に下落する可能性が高いと投資家が恐れるためです。歴史的に見ても、株価は1日の下落率が上昇率よりも平均的に大きく、株価下落は投資家の不安を招きやすい特徴があります。このことから「恐怖指数」という「異名」がつけられました。
【ポイント2】VIX指数の上がり過ぎは株式投資のチャンス?
過去最高はブラック・マンデーの150%!
■VIX指数は、突発的事象による株価暴落時に跳ね上がりました。S&P100指数のオプション価格から計算された1989年以前も含めると、最高は1987年10月19日のブラック・マンデー(NYダウが1日で22.6%下落)の時で150.19%、2番目はリーマン・ショック(2008年9月15日)後1カ月余りの2008年10月27日で80.06%です。
■また、ロシア危機(1998年8月)、同時多発テロ(2001年9月)、ギリシャ・ショック(2010年5月)で株価が急落した時など、40%台まで上昇したことが数回ありました。
■それ以外は、おおむね10~30%で推移しています。したがって株価暴落でVIX指数が跳ね上がった局面は中長期的には株式投資のチャンスだったともいえます。

【今後の展開】現在は10%台で推移、さらに低下する可能性も
■株価上昇が続くとVIX指数は緩やかに低下
株価上昇が長期化するとVIX指数は低下傾向をたどります。ポイント1で述べたことを逆に言うと、上昇率の方が下落率よりも平均的に小さく、変動性も低い傾向があるため、VIX指数の低下は緩やかに進みます。短期的な株価の動きはともかく、VIX指数がおおむね10~30%で推移していれば、株式投資に際して、比較的リスクが小さい環境であると思われます。
■10%以下まで低下したらある程度の慎重さも
VIX指数は2014年2月4日以来10%台が続いています。過去に10%を割り込んだ局面が2度ほどあり、その後1年間でNYダウは小幅下落しました。しかし、VIX指数が低位にある局面は、経済が安定し、突発的事象が起こりにくい局面と思われます。VIX指数は、今後10%以下まで低下する可能性もあり、その際には、株式投資に対してある程度慎重な姿勢も求められるものと思われます。