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ジャクソンホール(米国)【キーワード】

2014年8月26日

<今日のキーワード>
ワイオミング州ジャクソンホール(地名)では、毎年夏に、米国地区連銀の一つカンザスシティ地区連銀が国際シンポジウムを開催します。各国中央銀行総裁や政府関係者が政策のあり方や効果などを話し合うほか、連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演なども行われ、金融市場の注目度が高くなっています。昨年、バーナンキFRB議長(当時)はジャクソンホールへの出席を見送りました。

【ポイント1】日米欧の中央銀行トップなどが集った今年のジャクソンホール

今年のテーマは「労働市場のダイナミクスの再評価」
■8月21日~23日、ジャクソンホールにて国際シンポジウムが開催されました。今年のテーマは「労働市場のダイナミクスの再評価」でした。22日にはイエレンFRB議長とドラギ欧州中央銀行総裁が講演しました。また、23日には黒田日銀総裁とトンビニ・ブラジル中央銀行総裁、ブロードベント英国中央銀行副総裁が「労働市場と金融政策」についてのパネルディスカッションを行ったほか、期間中、多くの大学教授などによる講演やディスカッションが行われました。

【ポイント2】労働市場のスラックを改めて指摘

今後の金融政策に「単純なレシピ」はない
■イエレンFRB議長は「労働市場のダイナミクスと金融政策」というテーマで講演を行いました。講演では、リーマン・ショックによる景気後退からの5年間で、雇用が回復してきたことを確認した一方、労働参加率の低迷や、パートタイム労働者や長期失業者の多さ、賃金上昇の緩慢さなど、いわゆる労働市場のスラック(たるみ)としてこれまで指摘してきたことを分析し、改めて懸念を示しました。

■今後の金融政策運営については、「適切な政策に、単純なレシピはない」と述べました。

【今後の展開】雇用と物価動向を注視、改善の度合いにより早期利上げの可能性も

■デュアル・マンデート(2つの使命)達成が重要
今回の講演でも、「雇用の最大化」と「物価の安定」という、FRBのいわゆるデュアル・マンデートの達成が意識して盛り込まれました。物価はFRBが目標とする2%が、雇用に関しては労働市場のスラックを含めた改善が必要との見方を示しました。しかし、これらはこれまでも指摘されてきたことであり、金融市場には特にサプライズとして受け止められるものはありませんでした。

■利上げのタイミングは、雇用の改善次第
今後の金融政策については、労働市場の改善や物価の上昇がFRBの予想以上ならば、利上げのタイミングが早まると述べました。それと同時に、景気回復が期待通りでない場合、より緩やかな金融引き締めとなるとも述べました。こうしたことから今後も雇用と物価動向が注視され、なかでもスラックの改善が十分となると見られる来年後半以降の利上げが見込まれます。

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