S&P/ケース・シラー住宅価格指数(米国)【キーワード】
2014年8月28日
<今日のキーワード>
米国の中古住宅取引価格の代表的指標で、米国の中古住宅の約75%(金額ベース)をカバーしています。四半期毎に全米9地域の戸建て住宅価格が公表されるのに加え、10都市圏、20都市圏の各総合指数が毎月算出されます。なかでも20都市圏の総合指数が最も注目されています。この指標を考案したイェール大学のロバート・シラー教授は、2013年にノーベル経済学賞を受賞しました。
【ポイント1】20都市全てで上昇したものの、1年5カ月ぶりの低い伸び
前月比では2カ月連続で下落
■6月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数(全米20都市、以下住宅価格指数)は前年同月比+8.1%となりました。20都市全てで上昇したものの、1年5カ月ぶりの低い伸びにとどまりました。また、市場予想(ブルームバーグ集計)の同+8.3%を下回りました。季節調整後の前月比では▲0.2%と、2年4カ月ぶりに下落に転じた5月の同▲0.3%から2カ月連続の下落となりました。
【ポイント2】在庫増加の影響から価格下落か
住宅販売件数は価格に先行して回復へ
■住宅価格指数は、2012年2月以降、上昇が続いてきました。しかし、年末年始の大規模な寒波の影響により、住宅販売が減少したことから在庫が積みあがりました。これが足元の住宅価格の下落につながったと思われます。
■一方、7月の中古住宅販売件数は、前月比+2.4%の515万件と、4カ月連続で増加しました。住宅販売件数は、住宅価格に1年程度先行する傾向があります。中古住宅販売件数は昨年8月に前月比マイナスに転じ、今年4月以降増加基調となっています。

【今後の展開】雇用・所得環境の改善につれ、住宅価格も上昇へ
■当面は、価格の上昇が抑えられる見込み
これまで住宅価格は景気回復を背景に、投資家層の資金なども集まり、上昇してきました。足元の動向は、積みあがった在庫が解消されていく過程であることに加え、これまでの上昇に対する反動でもあると思われます。先行性のある住宅販売件数が昨年8月以降マイナスとなっていたことからも、当面、住宅価格は上昇が抑えられると考えられます。
■景気拡大見込みから、住宅価格も上昇へ
2014年4-6月期の米国の実質GDP成長率は前期比年率+4.0%と、前期(同▲2.1%)から大幅に回復しました。今後も年率3.0%前後の成長が見込まれます。景気拡大に伴い、雇用や所得の環境が良くなるにつれて、消費者の住宅取得意欲も増すと考えられます。足元の住宅販売件数は増加に転じており、住宅価格も再び上昇傾向となることが見込まれます。