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「ルセフ政権」を悩ます水不足(ブラジル)【キーワード】

2015年2月18日

<今日のキーワード>
現在夏を迎えているブラジルでは、水不足が深刻です。サンパウロやリオデジャネイロといった大都市のある南東部を中心に、過去80年で最悪ともいわれる干ばつが発生し、野菜などの値上がりや給水の不安定化に見舞われています。総発電量の7割弱が水力発電でまかなわれていることから、ダムの貯水量低下で水力発電が制限され、経済活動を抑えることも心配されます。

【ポイント1】食品価格が高騰、停電や断水が頻発

景気の足を引っぱる
■1月には猛暑による電力需要の増加や送電設備の故障が原因となり、複数の州にまたがる大規模な停電が発生しました。サンパウロ市だけでも地下鉄の運行停止など、影響が1日で200万人に及び、経済活動に大きな影響が出ているようです。また、同市では給水が不安定化しており、医療機関の断水が今年に入り、のべ600回以上にわたるなど深刻化しています。

■当面の水不足解消は期待しづらく、計画的な停電や断水が必要とも報じられており、製造業の操業低下が懸念されます。また、野菜などの価格高騰により、消費が抑えられるほか、中央銀行が物価高是正に向けた利上げを続けざるを得ず、景気低迷の長期化が懸念されます。

【ポイント2】インフラ整備が間に合わず

隣国から電力購入も
■電力供給量の低下を補うため、隣国アルゼンチンから電力を購入した模様です。火力発電については、ブラジル石油公社(ペトロブラス)の所有する火力発電所の多くが整備上の問題などを抱え、稼働率引き上げが難しい状況です。

■天候に左右される不安定な電力供給の改善には、政府のエネルギー政策の見直しやインフラ投資の拡大が必要との声も聞かれます。

【今後の展開】財政、物価、景気対策を地道に積み上げ

■水不足は2期目のルセフ政権への逆風に
ルセフ大統領は、今年1月に2期目をスタートさせていますが、ペトロブラスの汚職問題などから、支持率が就任以来最低の水準に落ち込んでいます。水不足をきっかけとして、生活不安、景気の不透明感、政府系企業の経営問題などが、政権への一層の逆風になっています。

■財政再建、物価抑制などに向け政策を断行
今年1月に財務相に就任したレビ氏は、早速増税などを通じた財政再建に取り組んでいます。また、中央銀行は物価を抑制するため、利上げを進めています。景気低迷や水不足から難しい情勢ですが、こうした取り組みが中長期的に政府・中銀の信頼回復につながることが期待されます。

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