大統領選挙の第1回投票(ブラジル)【キーワード】
2014年10月6日
<今日のキーワード>
ブラジルでは、4年毎に大統領選挙が実施され、第1回投票で過半数の得票者がいない場合、上位2名での決選投票が行われます。今年は、第1回投票が10月5日、決選投票が10月26日とされ、ルセフ現大統領が与党労働者党(PT)から出馬し2期目を目指しているほか、ブラジル社会党(PSB)のシルバ氏とブラジル社会民主党(PSDB)のネーベス氏が有力候補と言われています。
【ポイント1】現職のルセフ氏と、ネーベス氏が決選投票に進出
得票率トップのルセフ氏も、過半数の票は獲得できず
■10月5日に第1回投票が実施され、93%が開票された時点で、得票率のトップは41%のルセフ氏、2位が約34%のネーベス氏になり、両氏が決選投票に進むことが決定的になりました。
■シルバ氏は、世論調査で一時、決選投票に進出すればルセフ氏を破るとの結果が出ていたこともありましたが、約21%の得票率にとどまり3位となり、予想外の結果になりました。
【ポイント2】世論調査ではルセフ氏が優位
ネーベス氏には政府批判票が集まる見込み
■決選投票に関するこれまでの世論調査によると、人気1位のルセフ氏に対して現政権への批判票が野党候補に集まり、2候補の支持率の差は第1回投票よりも縮小するとの調査結果が多く見られました。しかし、ルセフ氏の陣営がシルバ氏の支持層に歩み寄りを見せて票の上積みを狙う可能性もあります。決選投票の行方は、最後まで見極めにくい状況になりそうです。
■ルセフ氏にとっては、景気低迷と物価高などが逆風になっています。ただし、これまでの最低賃金引き上げ策への評価などから、根強い支持があります。一方のネーベス氏は経済政策として中銀の物価目標の重視、税制の透明性や公平性の向上、投資増に配慮しながらの財政赤字削減などを掲げ、支持につなげています。

【今後の展開】レアルは選挙戦の行方に振られる展開が続く見込み
選挙後は、景気回復期待や海外との金利差がレアルを支える材料に
■市場は世論調査の結果に振られる展開
第1回投票を前に、ブラジル市場は世論調査の結果などに大きく振られる展開となっていました。野党候補の勝利による経済政策の刷新期待が株式やレアルの上昇につながる一方、ルセフ氏の続投観測は下落要因になっていました。
■米国の利上げ前倒し観測もレアルの変動要因
レアルは選挙戦の行方に振られる展開が続きそうです。足元では米国の利上げ前倒し観測が強まっており、市場の不透明感を増す要因として注意が必要です。大統領選後は、景気回復期待や海外との金利差などに注目が集まり、レアルを下支えすると思われます。