「オフィスビル空室率」、8月はさらに低下(日本) 【キーワード】
2016年9月20日
<今日のキーワード>
「オフィスビル空室率」は、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が、毎月中旬頃にホームページに公表しています。空室率のほか、オフィスビルの平均賃料や棟数なども公表されており、オフィスビル市場を見る上で有益です。札幌、仙台、東京、横浜、大阪、名古屋、福岡の7つのビジネス地区について、新築、既存ビルに分けられたデータとなっています。
【ポイント1】8月の都心5区の空室率は3.90%とさらに低下
オフィスビルの需給ひっ迫状態が継続している
■9月8日に発表された三鬼商事の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の8月の空室率は、前月比で▲0.04ポイントの3.90%となりました。空室率は7月に約8年ぶりに3%台に突入しましたが、8月はさらに低下となりました。直近のピークだった2012年6月の9.43%からみると、空室率は半分以下の水準にまで低下しています。
■8月は新築ビルでテナントの移転に伴う大口の解約がありましたが、築年数の浅い大型空室で成約が進み、全体の空室率低下につながりました。オフィスビルの需給ひっ迫状態は継続しています。
【ポイント2】賃料は32カ月連続で上昇
人気エリアでは空室が殆どない状況
■堅調な需給を反映して、オフィス賃料の上昇も続いています。8月の都心5区の平均賃料は坪当たり18,322円、前年同月比で+4.8%、前月比では+0.3%の上昇です。
■賃料の上昇は32カ月連続となります。都心5区の既存ビルに限った8月の空室率は3.55%と低水準にあり、人気エリアでは、殆ど空室がない状態が継続しています。

【今後の展開】日本のリートには追い風続く、金利低下もプラス
■賃料上昇は今後も続く
オフィスビルの空室率が5%を下回ると、売り手市場となり賃料は上昇する傾向にあります。新規の供給が限定的なため、賃料上昇は今後も続くことが予想されます。また東京だけではなく、横浜、札幌、大阪、福岡などでも空室率は低下傾向にあります。低金利状態とあいまって良好な事業環境が継続しています。
■株式とは対照的にリートの好調が目立つ
日本のリートはオフィスビルに特化したものが多く、金融緩和が進行する中、賃料の上昇は追い風です。東証REIT指数の昨年末からの上昇率は+3.9%(9月15日引け値ベース)と、日経平均の同▲13.8%と比べ、対照的な推移となっています。