金融政策の「総括的な検証」(日本)【キーワード】
2016年9月14日
<今日のキーワード>
日銀は9月20日、21日の金融政策決定会合において、「量的・質的金融緩和」および「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」のもとでの経済・物価動向や、政策効果について「総括的な検証」を行います。市場では、現行の政策の枠組みについて何らかの変更がなされるか、また追加緩和が決定されるかについて、様々な見方が浮上しています。
【ポイント1】「総括的な検証」について総裁と副総裁が講演
講演内容は共通部分が多く、整合性がとれた形に
■黒田総裁は9月5日に『金融緩和政策の「総括的な検証」-考え方とアプローチ-』というタイトルで、中曽副総裁は9月8日に『金融緩和政策の「総括的な検証」に向けて』というタイトルで、講演を行いました。
■講演内容は共通部分が多く、全体として整合性がとれた形になっていました。これによって日銀の「総括的な検証」に対する考え方が、より分かり易く示されたと思われます。
【ポイント2】2%の物価目標は維持へ
マイナス金利の影響も認識
■総裁・副総裁とも、「2%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するというコミットメントを堅持していくことが重要」と述べていますので、「総括的な検証」においてもこの枠組みに変更はないとみられます。
■また総裁・副総裁とも、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」については、強力な政策効果を認める一方、金融仲介機能に与える影響に配慮しながら政策判断を行う必要があるとしています。
■さらに黒田総裁は、「量」・「質」・「金利」とも拡大は十分可能であり、またそれ以外のアイデアも議論の俎上からはずすべきではないと述べています。

【今後の展開】検証結果が明らかになる9月21日は相場の変動率上昇に注意
■2つの講演を経てもなお、「総括的な検証」の結果に対する市場の見方は定まっていません。一部には利回り曲線(イールドカーブ)を傾斜(スティープ)化させる政策を予想する向きもみられます。
■そのため検証結果や施策の内容が明らかになる9月21日は、株式、債券、為替の変動率が一時的に大きく上昇することも想定され、注意が必要です。