「LINE」の上場(日本) 【キーワード】
2016年7月19日
<今日のキーワード>
「LINE」のユーザーは日本では6,070万人を数え、いわば国民的アプリと言えそうです。その「LINE」が14日にニューヨーク証券取引所に、15日には東京証券取引所に株式を上場しました。東証での15日の引け値は公開に先だって行われた公募増資の価格3,300円を31.6%上回る4,345円でした。この結果、時価総額は約9,100億円となり、IT企業としては世界的にも今年最大規模の新規上場企業となりました。
【ポイント1】東京とニューヨークに同時上場
今年最大規模のIT企業の上場
■「LINE」は2000年に親会社のNAVERCorporation社(韓国)により日本で設立されました。当初は、オンライン・ゲームの開発会社でしたが、2011年6月に現在の事業の中心となっている、モバイルメッセンジャー・アプリケーション「LINE」をリリースしました。「LINE」の時価総額は、東証での本日の引け値を基に約9,100億円となり、IT企業としては世界的にも今年最大規模の新規上場といわれています。
【ポイント2】日本では圧倒的なシェア
6,070万ユーザーで国民的アプリ
■「LINE」の日本でのアクティブユーザー数は3月末時点で6,070万人まで拡大しており、メッセンジャー・アプリケーションとしては、圧倒的なシェアを有しています。
■海外では台湾、タイ、インドネシアで強く、これら3カ国のユーザー数は同9,100万人、全世界でのユーザ-数は同2億1,600万人に達しています。2015年12月期の売上高は1,207億円です。内訳はゲームなどのコンテンツ部門が41%、スタンプなどのコミュニケーション部門が24%、広告収入が22%、「LINE」以外のポータル事業が8%、その他が5%です。

【今後の展開】今後の成長は海外展開がポイント
■「LINE」のようなメッセンジャー・アプリケーションは、顧客の囲い込みがポイントとなります。「LINE」でコミュニケーションを図るには、お互いが「LINE」アプリケーションに参加していることが前提となるからです。「LINE」は既に日本では、独占的な状態を作り上げることに成功しているため、企業として今後の成長を達成するためには、海外市場での顧客獲得が最大のポイントとなりそうです。
■今回、東京に先立ちニューヨークでの上場を先行させたのも、海外での知名度を上げる意味あいがあったと考えられます。また、公募増資によって調達した資金も、主として海外市場の開拓や新規事業への投資などに使用される見通しです。ただし海外では「Facebook Messenger」や「WhatsApp」などの有力ライバルが存在するため、「LINE」の今後の成長戦略が大いに注目されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
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