ヒット商品番付、注目は「インバウンド消費」(日本)【キーワード】
2014年12月4日
<今日のキーワード>
ヒット商品に関するランキングは、その時々の流行や経済情勢を映す指標として注目され、複数の企業や団体が発表しています。例えば、日本経済新聞社は「日経MJヒット商品番付」として、消費動向や世相を踏まえて、売れ行きや開発の着眼点、産業構造や生活者心理に与えた影響などを総合的に判断し、相撲の番付になぞらえたランキングを発表しています。
【ポイント1】2014年の横綱は、「インバウンド消費」と「妖怪ウォッチ」
政府による誘致政策と円安が外国人観光客の消費を後押し
■「日経MJ2014年ヒット商品番付」では、東は「インバウンド消費」が、西は「妖怪ウォッチ」が横綱となりました。「インバウンド消費」とは、訪日外国人旅行(インバウンド)による消費のことです。訪日外国人数は、2014年1月から10月までの累計で1,100万9,000人となり、すでに昨年の年間実績を上回りました。また、10月からは外国人観光客向けの免税品目が拡大され、10月の外国人観光客による百貨店売上高は前年同月比2.2倍となりました。アベノミクスが掲げる2020年の外国人旅行客2,000万人の目標に向けた政策や円安を追い風に、「インバウント消費」は今後も活況が期待されます。
【ポイント2】前頭には「NISA」と「ふるさと納税」
消費税増税もあり、制度活用に注目集まる
■おカネ関連では、東は「NISA」が、西は「ふるさと納税」が前頭にランクインしました。「NISA」は、今年1月にスタートした少額投資非課税制度の愛称です。1人毎年100万円までの株式や公募株式投資信託の分配金や譲渡益が条件付きで非課税となります。「ふるさと納税」は、個人が自治体に2,000円を超える寄付を行った場合、所得税と住民税が軽減される制度です。自治体は生まれ故郷以外でもよく、「ふるさと納税」をすると、特産品や工芸品などがもらえることから人気です。
■消費税増税によって消費の回復が弱く、「格安スマホ」(関脇)や「ちょい飲み」(前頭)もランクインしました。引き続き節約志向も垣間見えるなか、「NISA」や「ふるさと納税」は時代に即して、制度を活用しようと人気となっているようです。
【今後の展開】再増税延期や賃上げの動きによって、消費者心理の好転に期待
■暖冬の予報から年末の消費には厳しさも
「アナと雪の女王」(大関)のヒットはありましたが、気象庁によると今年は暖冬が予想され、冬物商戦は厳しいかもしれません。一方、円安基調が見込まれることから、外国からの消費には今後も期待したいところです。
■再増税延期や賃上げ動向に期待
景気回復が足踏みするなか、消費税再増税の延期や引き続き賃上げの動きが見られることは消費者心理にプラスと考えられます。年末の衆議院選挙では、景気回復への具体的な政策が示され、先行き不透明感が払しょくされることに期待です。